重い心臓病のため、海外での心臓移植が必要な中学生要美優さんを救おうと県内で展開された募金活動によって、移植のための費用が、わずか1ヶ月程で集まったのは先月の出来事です。
一人の女の子の命を救おうと、県外をも巻き込んだ支援活動。その支援者の思いと、両親の思いを振り返ります。
12月20日父会見「美優のために力を貸して下さい」去年12月、県庁で訴えた悲痛な声。海外での心臓移植が必要な女の子の両親が会見し、移植費用を集めるための募金を呼びかけたのです。
女の子の名前は、要美優（かなめ・みゆ）さん。中学1年生。去年4月、入学したわずか1ヶ月後の学校健診で異常が見つかりました。50万人に一人とも言われる難病「拘束型心筋症」でした。今の医学の力で、美優さんの命を救えるのは心臓移植だけ。
しかし、日本で移植を受けるためには3年〜4年、待たなければなりません。病気はいつ、悪化するかも分からず、そこで両親は、アメリカでの移植に期待をかけます。ところが、その費用は1億5200万円。
一人の命を救うための活動がスタートしました。
12月26日母 直美さん「あと2〜3ヶ月のうちには（アメリカに）行けるようになるとありがたいと思っております」
両親や支援者の思いは、県外をも巻き込む大きなうねりとなっていきます。
全国移植者スポーツ大会 さくらちゃん走る！ さくらちゃんのお母さん「50メートル走れるようになったじゃん！」さくらちゃん「走れるよ！」心臓移植によって救われる命。その例があります。去年沖縄で開催された、臓器移植者によるスポーツ大会。東京に住む上田さくらちゃん（7歳）も4歳の時に拘束型心筋症を発症、アメリカで移植手術を受け，今では元気に走れる女の子になっていました。
さくらちゃんの主治医福嶌先生「走ったらダメ。あるいは走ったら命を落とすかも知れないという子ども達が、移植の恩恵にあずかってこうやって走れるようになる。」「嬉しいですね」
先月3日。美優さんを救う運動が始まって、わずか45日。募金は、目標の1億5200万円を突破します。
2月3日移録 美優ちゃんの父 俊明さん「アメリカで手術を受けるチャンスを皆さんによって頂いたことを本当にありがたいです」
「上を向いて歩こう」先月、県内で活躍するミュージシャンや、団体が出演し美優さんの通う中学校でチャリティーコンサートが開かれました。募金はこのとき、目標金額を達成していましたが、コンサートを企画した人々には、美優さんに届けたい思いがありました。
名渡山さん「きょうは額は達成しているので音楽でエールを送ろう元気で行ってらっしゃいというような」会場では、美優さんの所属するテニス部の仲間達が、訪れた人から美優さんへの励ましのメッセージを集めていました。
津波古美咲さん（中3）「ずっと一緒に部活してきたので少しでも良いので美優ちゃんのためにできることがあればいいなと思ってやってます」この日、舞台でお礼の言葉を述べた両親。大きな支援のうねりに喜びつつも、戸惑いもありました。
2月13日美優ちゃん支援ライブ 父 俊明さん「ここまで大きな世間を巻き込んだ騒ぎになるとは思っていなかったので本人も複雑だと思うんですけどね」中学生で思春期を迎えた女の子が、心臓移植に向き合わなければならないだけでなく、自分の顔と名前や、体の不調を誰もが知っている。複雑な心の内を両親が語ってくれました。
2月13日美優ちゃん支援ライブ 父 俊明さん「何とか娘の名前や写真を公表しないで募金活動できないかと考えましたけれども」「苦渋の決断と言うのかですね。」「本人の気持ちの中には本当に不安と恐怖と葛藤で一杯になっているんですね、なので少しでもその気持ちがちゃんと親にも言えたり、ちゃんと泣けたり、話が出来たりということで、向こうに行って待機が長いと思うんですけど、家族で支えて乗り切っていきたいと思います」
このライブの前の日、美優さんは13歳の誕生日を迎えました。2月13日美優ちゃん支援ライブ母 直美さん「食事の制限というところが一番辛かったものですから来年は生クリームを沢山乗せたおっきなケーキを食べようねって言って」
一人の女の子を救う運動は、当初の目標を達成。来月には、アメリカに向け、出発します。PTA会長宮城信昭さん「募金達成したから終わりではなくてですね、これからが本当のスタートですね。」
名渡山秋彦さん「帰って来たよ〜という笑顔を那覇空港で迎えたいなと思っていますね。」伊志嶺 哲男校長「皆さんの思い。または美優の強い心で、是非帰って来て元気な姿を見せて欲しい」女の子「手術が成功して一緒にテニスしたいです」
美優さんは今、福岡の病院にいますが、来月5日には移植のため、いよいよアメリカに出発することが決まっています。移植の成功とともに、13歳の女の子の、心の動きも周囲はしっかり理解してあげたいですね。以上、Ｑリポートでした。