2010年知事選。選挙戦は中盤をむかえ、各候補者の運動も激しさを増してきました。きょうは中国漁船衝突事件をきっかけに大きくクローズアップされた尖閣諸島をめぐる問題、さらに政府が検討している先島への自衛隊配備について各候補者の主張を聞きます。
ことし9月。尖閣諸島沖の領海内で、中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突。逮捕された漁船の船長は処分保留のまま釈放され、事件は未解決のまま棚上げ状態となり、日本の外交問題に対する姿勢が問われることになりました。
候補者に尖閣問題について聞きました。各候補者とも「尖閣は日本の領土」であるという一致した主張を述べています。
仲井真さんは、漁民の安全操業など県の立場を国に主張し、解決を求めるとしています。
仲井真候補「沖縄の番地のついている沖縄の県域。これはしっかり主張をしていかないといけない。国と国との交渉で、平和的にきちっと解決を目指してもらいたい」
これに対して伊波さんは、県の立場を国、さらに県として直接、中国政府に対して主張していくとしています。
伊波候補「必要ならば知事として中国政府に対し、沖縄漁船の安全操業のための措置を求めていきたい」
ことし3月、国が進める防衛力整備計画により沖縄に配備されている陸上自衛隊が混成団から旅団に昇格、隊員は1800人から2100人に増員されました。
自衛隊の強化が進むなかで起きた衝突事件。政府は今回の事件をきっかけに、さらに自衛隊の強化を目指しています。今月、告示前に沖縄を訪れた防衛副大臣は先島地域への自衛隊配備について具体的に話しました。
安住副大臣「これからの日本の防衛は北から南へのスイングをしなくてはならないと思っている。陸上自衛隊を(先島地域に)駐屯することを県民の皆さんにも受け入れて頂けるのであれば、私達は来年度の調査費も含めて着々と準備はしたいと思っている」
着々と準備を進める、という政府の姿勢に対し、各候補者はこう考えます。
仲井真候補「与那国だろうと、どこだろうと配置するべきだと思います。尖閣とは絡んでないと思いますが、尖閣もたまたま出てきていると思いますが、それぞれの島に、きちっと必要に応じて、防衛、自衛隊をおくというのは当然のことだと思います。ただし沖縄の戦中・戦後の歴史を考えると住民の県民の理解と協力を得るということは大前提になるとは思います」
一方、これに反対しているのは伊波さん。
伊波候補「海上保安庁は日本の漁船の安全操業を確保する意味から、一定の警備強化は必要だと思います。ただ自衛隊を増強しようという、2万人という数も聞こえますよね、先島に。そういうことはやめたほうがいいと思います。逆に、本当に一触即発で何か起こったら、それを修復するのに長い年月かかると思います」
金城竜郎さんは「尖閣沖縄を守るには、先島に自衛隊配備を国に要請する」と主張しています。
中国漁船衝突事件をきっかけに全国的な議論を呼んでいる尖閣問題、そして周辺警備を理由に加速化しようとする自衛隊の強化、先島への自衛隊の配置。外交や防衛は国が考えるべき問題ではありますが、沖縄の海の安全のために沖縄の知事がどのような主張をしているかを見極めるのは大切です。各候補者の主張は大きく異なり、今回の知事選の大きな争点の一つと言えます。