≪スタジオ≫那覇空港と本土やアジアの都市を結ぶ沖縄貨物ハブが、スタートから昨夜でちょうど1年を迎えました。国内初の本格的な航空貨物ハブ事業として注目された事業。どのような展望が見えてきたのでしょうか。実近記者です。
「午前1時30分です。今、成田から第一便が到着しました」未明に続々と到着するボーイング767貨物専用機。到着するとすぐに、積み荷は降ろされ、貨物を引いた、牽引車が激しく行き交います。
全日空の沖縄貨物ハブでは、国内3ヶ所、海外5ヵ所の、合わせて8都市から深夜に、那覇空港に貨物を運びます。積み荷は、那覇空港で行き先別に仕分けされ、再び早朝に、各都市に配送されるというハブ アンド スポーク方式の航空物流プロジェクト。
「午前3時です。羽田からの便が到着しました。那覇空港に各地から到着した貨物機がずらりと並んでいます」「貨物の積み替え作業は、これから最も忙しい時間帯を迎えます」那覇空港では、事業スタート以来日曜日を除く毎晩、このような光景が繰り広げられています。
「台北から到着したコンテナです。中の荷物は、一つ一つ行き先別に仕分けされています」一晩あたりの地上の作業員は、およそ200人。作業効率も、この一年で格段に向上したといいます。
「今、こちらでは通関作業が行われています。エクスプレスといわれる荷物なんですが、通常、通関作業に時間がかかる成田など大きな空港でなく、那覇空港で通関作業をすうことによって、高速な輸送が可能になっているんです」
エクスプレス便は、圧倒的な輸送スピードを誇る沖縄ハブのサービスの中でも、最速の輸送サービス。単価は高いですが、こうしたサービスの需要も確実に伸びています。当初、貨物搭載率80%を目指した沖縄貨物ハブ。1年を通した実績はどうだったのでしょうか。「2月、3月にかけて60%、65%、徐々にアップしております」「近々の資料だとデータだと70%前後まで達成していると」
国際貨物取扱量で、那覇空港は、この一年で一気に成田、関空に次ぐ、全国3位の空港となりました。貨物の内訳で、最も多いのは電子部品や精密機器。日本とアジア間の輸送だけでなくアジアの拠点から、別のアジアの拠点向けた需要も取扱量全体の2割を越えるようになりました。「万国津梁の、沖縄ハブの真骨頂を出すことができていると」沖縄ハブの運用経費は、年間、百数十億円。現在は、まだ赤字ですが、全日空では、2年目には黒字化を達成できると自信をみせます。
福岡市で開催されたセミナー参加したのは、九州の企業の担当者およそ50人。「かつて、海を結んだ国が、今度は空を結びます。海から空へ」このセミナーは、沖縄県と全日空が沖縄貨物ハブを、より多くの企業にも活用してもらおうと今月から日本国内やアジアの各都市を回っているもの。
「例えば、積み荷を夜の7時までに代理店に持参すれば、翌朝には目的地に配達される圧倒的なスピード物流を現実のものとしました」黒字化達成の最大の鍵は、沖縄ハブの認知度の向上。セミナーでは、福岡から香港までの物流をシュミレーション。沖縄ハブを使うことで、輸送時間が、従来の半分以下になるモデルが紹介されました。
このほか、沖縄ハブをさらに活用してもらおうと沖縄への企業の進出を狙った、県のプレゼンテーションも行われました。セミナー終了後、会場では、企業の担当者が個別にさらに詳しい説明を求める姿も、見られました。
「夜中24時間、通関できますので、これはお客様のご自由です。私どもグループ会社でここは通関代行の体制ありますから、しっかり情報のやりとりさえ出来れば、全部朝に着く。これが我々の実は最速モデルです」「東アジア地域の貿易はこれからますます伸びていくと思ってますんで、日本の経済力維持のためにも是非沖縄のハブ成功するように我々も活用方法考えていきたいなと思ってます」
明太子のメーカー「何しろ生ものですから、冷凍品なので、少しでも早くというところで」「それでみんなが眠っている間に荷物だけが動いてくれたら、とてもありがたいことだと思います」
鹿児島の運送会社「鹿児島も電子メーカーさん、いっぱいあるんですけど、そういう電子メーカーさんがいま、鹿児島で通関してもリードタイムの点で劣っているんですよね。だからそういう点でリードタイムを取り返すためには、こういう那覇のハブを使うっていう方法も一つの提案ですからね」
三橋さん「九州の方々、メーカーさんはもともと電気関係多いですし、輸出産業が非常に多いですね。それとあと農産物とか、海産物も九州からアジアへ出ていこうという漁連さん、企業さん、農協さんとかおりますんで、そういう方が非常に興味持たれております」
2年目を迎える沖縄貨物ハブ。沖縄だけでなく、日本経済のけん引役となることが出来るのかまさにこれからが正念場です。