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今年7月に完全施行されて改正臓器移植法。脳死を人の死を法律で定め、15歳未満の子どもの臓器提供を認めたことなどで、臓器提供の対象が広がりました。これによって移植手術を希望する患者にとっては可能性が広がると歓迎されていますが、まだ課題も残っています。

仲里さん選手宣誓「宣誓!私達は臓器提供により健康を回復することが出来ましたあらためて、臓器を提供した方々へ感謝の気持ちでいっぱいです」

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先週、行われた全国移植者スポーツ大会。臓器移植を受けた人に、スポーツを通し、健康の喜びを感じてもらうとともに、臓器を提供した人への感謝と、移植医療について広く理解を深めてもらうことを目的に、NPO法人・日本移植者スポーツ協会が開催したものです。

宮城林さん「僕は37歳で(臓器移植を)受けまして僕の兄貴からもらいましたので」那覇市内で医療器具の会社に勤める宮城林さんは今から24年目前に腎臓移植を受けました。「いやもう人生バラ色ですよ」「やっぱりね普通の人と同じ生活が出来るというのが良いこと」

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大会には、全国から集まった移植者や、臓器提供したドナーやその家族も参加し、宮城さんと同じように移植後、再び取り戻した人生を楽しんでいました。

名古屋から来た女性「初めて自分一人だけで外出して自分の足で歩いて好きな所に行けて無事戻ってこれた時は本当に嬉しくって“あ〜生きてるって”感じましたね」愛知から来た男性「本当に歩けるような状態じゃなくてかなり辛い思いをしていたんですけど、それまでずっとスポーツもやっていたんですけど、それもまったく出来ないような状態で、移植してからまたスポーツも復活できて」

宮城さんは移植後、定期的に検診を受けています。主治医は同仁病院で腎移植を担当する宮里朝矩先生。

宮里先生「もう20年以上(臓器が)正着することは、昔の移植医療から考えると非常に素晴らしい。」宮城さん「もう24年目ですからね。」先生「すごいですね。」宮城さん「もう死ぬまで大丈夫だと思っているけど(笑い)」

同仁病院 宮里朝矩医師「そりゃあもう(臓器移植)された方が一番わかるんですが、その前後を見ていますので、家族がやっぱり喜びますよね。本人はもちろんそうですが、家族が家族で一人やっぱり透析患者さんがいますと家族そのものが、いろんなところで生活の質そのものが落ちますし皆で支えているわけですから、それが社会復帰するわけですから、まったく違います」

ところで「臓器移植」は亡くなった人から臓器の提供を受ける死体移植と、生きている人から臓器提供を受ける生体移植。そして自分の組織を使う自家移植の3種類に分けられます。

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死体移植(心臓・肺・肝臓・腎臓・すい臓・小腸・角膜・骨など)生体移植(肺・肝臓・腎臓・すい臓・骨髄・臍帯血)自家移植(自分自身から)(骨髄・皮膚・神経・血管・筋肉)

今年7月、この臓器移植に大きな変化がありました。「改正臓器移植法」の施行です。法改正の注目点は、「脳死は“人の死”」と法律で定めたことや生前に本人の意思が確認できなくても家族の同意があれば臓器を提供できること。そして、15歳未満の臓器提供を新たに認めることなどです。

しかし、一方で、議論になった脳死を承諾できない家族からの臓器提供は認められないなど、それぞれの“死生観”も尊重されています。改正によって、法律が整備され、臓器提供の対象が広がったことで移植件数が増えることに期待が集まっています。

日本移植者スポーツ協会 大久保道方理事長「移植を受けた9割の方が完全に社会復帰していることを是非皆さんに知っていただきたい」

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県内で臓器の移植手術が出来るのは腎臓のみです。それ以外は県外での手術になります。しかし、去年から県内では、それまでの琉大病院や中部病院に加え同仁病院が、腎移植手術の指定病院となりさらに今年度中には、豊見城中央病院も指定される見込みで県内に約4000人いるといわれる透析患者にとっては朗報です。

しかしそのためには、臓器を提供するドナーの数が増えることが重要そこで、今回の法改正を機に、意思表示カードが新しくなった他,新たに運転免許証や、保険証に臓器提供の意思を書き込めるようになり、これによっておよそ3年後には7割、5年後には9割以上の人が臓器移植の意思表示が出きると見込んでいます。

名古屋から来た女性「(臓器を提供してもらい))私は父親の“命のかけら”に支えられているなっていうのが本当に感じて感謝してます」

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宮城林さん完走後「移植を受けた人はこんなに元気なんだというものを皆さんに見ていただいて、一緒に医療を見直していこうということになれば素晴らしい活動になるんじゃないかなと思っていますけど」

臓器を提供する人がいて初めて成り立つ移植医療ですが、まだまだ十分な理解が得られていません。関係者は、臓器を提供することが絶対に正しいという結論ではなく臓器を提供したくないという結論があっても良い。移植医療ということに目を向けてくれることが、何より大切だとしています。

今月末には、臓器移植を知るシンポジウムも浦添市で開催されます。以上Qリポートでした。

「臓器移植を知るシンポジウム2010」時間:10月31日(日)午後2時から場所:浦添市てだこ小ホール(入場無料)