中国と沖縄を結ぶチャーター機の運航が相次いでキャンセルされています。尖閣諸島をめぐる日中間の緊張が沖縄観光に直接影響を与え始めています。
那覇市のジャンボツアーズによりますと30日に中国四川省成都から沖縄に飛ぶ予定だったチャーター機について28日、突然、運航する四川航空から「フライトをキャンセルする」と連絡がありました。
ジャンボツアーズではこのチャーター機によるツアーを計画していて影響は日中双方で240人、3400万円の損失が出ました。また、沖縄ツーリストによりますと今年7月から来年2月までの間に合わせて53便が予定されていた沖縄と北京を結ぶチャーター機について28日、中国の旅行会社から来月後半の5便の運航中止が伝えられました。
影響はおよそ700人に上るということです。
それでは、取材にあたっている実近記者に聞きます。ツアーの中止ですが、やはり尖閣諸島をめぐる問題が原因なんでしょうか?
そうですね、尖閣問題を受けた反応であることは間違いないようです。
中国からの観光客の減少につながりそうですね。
これが、最近、中国から沖縄を訪れている観光客なんですが、年間およそ2万人なんですね。しかし、今年に入ってですね、特に中国人の個人ビザの発給要件が緩和された7月以降、急に増えていますね。実は、沖縄県は、今年を「沖縄インバウンド強化年」としてまさにこれから国際観光客、特に中国を中心としたアジアの観光客の誘致を強化している矢先なんですね。
確かに、最近、県内でも中国人、中国を対象にしたビジネスの話題をよく聞きますよね。
観光の分野では、特に人気が高いリゾートウェディングなどで、中国、台湾のカップルをターゲットにしたビジネスは非常に好調です。また、物流の面では、去年からスタートした全日空の沖縄貨物ハブが注目を集めています。いずれも、沖縄の地の利を生かしてアジア、特に中国にマーケットを拡大しているもので、こうしたビジネスに象徴されるように中国は沖縄経済の将来を左右すると言っても過言ではないマーケットです。実際、県も、中国に対して様々なプロモーション活動を行ってきました。
知事「残念ですよね、これまでね、中国と沖縄もいい関係あったんですからね」「だからこれは、いろんな状況が起こった時に、ある意味では冷静にね、政府がしっかりね、頑張ってもらいたいなとおもいますね」
尖閣問題は、もちろん重要な問題ですが、今後、経済あまりにもこの問題に振り回されるのは沖縄にとって大きなマイナスですね。
政治問題がこうした壁にぶつかった時、中国企業とのビジネスは、確かに簡単ではないようです。そのあたりに詳しい県関係者は、今回の事態について次のように指摘します。
「民間だけでっていうのは中国のビジネスは無理です」「政府、沖縄でいえば、県、県と民間というのが一体型で、向こうの政府とパイプをつないで、民間の企業を守っていくと、いうのをやらないと、僕は今後も同じことが出てくると思います」
難しいですね…じゃあ一体どうすれば…
今回チャーター機をキャンセルした北京の旅行会社は中国の国内世論から、旅行商品の宣伝が難しくなったと理由を説明して、旅行社としてはチャーター機を飛ばしたいという気持ちはあるようです。
今年後半には、県内に定期便を就航させたいという中国の航空会社が実はあります。未だに、沖縄の企業とビジネスをしたいという中国の企業は多く、中国企業のモチベーションそのものは大きく変わっていないという見方もあります。
まあ、難しい局面ではありますが、政治問題の解決は重要ですが、経済交流については、やはり冷静に構えて、対応する必要があると思います。