あさって12日、県内各地では議会議員選挙が行われますが、中でも注目されているのが、名護市議会議員選挙です。基地建設反対を掲げる稲嶺市長が誕生して初めての選挙。市長派と反市長派が火花を散らしています。
岡田外務大臣「地元沖縄の理解を得るということであって」
北沢防衛大臣「今後、沖縄の皆さん方と十分に協議しながら決めていく」
辺野古への基地建設に「理解」や地元の「合意」を強調する大臣たち。その行方を左右するものとして、政府も 注目しているのが名護市議会議員選挙です。27の議席に対し、37人が立候補していますが、このうち稲嶺市長を支持する候補が18人。島袋吉和前市長を後ろ盾とする反市長派が17人となっていて、市議選は現在の市長と前の市長の代理戦争だという人もいます。その勝敗の鍵を握るのが・・・。
基地問題を巡り、保革が容認と反対に分かれて何度も戦ってきた名護市の選挙。革新系の基礎票は1万1000票程度と見られていますが、1月の市長選挙では基地反対を掲げて戦った稲嶺市長に1万7950票もの票が寄せられました。その背景には一部保守系の取り込み、そして「無党派層」の存在が指摘されていて、各陣営は今回もそのとりこみに必至なのです。
情勢が肉薄する中、市長派の候補たちは、9か月前の風を再び吹かせようと市長に応援を依頼しています。
稲嶺市長「基地に頼らず、子どもたちが健やかに、たくましく育つことのできるまちづくりを進めていくために」
稲嶺市長「時計の針を元に戻すこと、そんなことあってはならない。名護市民の底力を改めて見せてほしい、見せるチャンスだと思う」
一方、反市長派はというと。
島袋権勇議長「基地問題は避けて通れるものではありません。真正面から取り組んでいかないと地域の利益が損なわれるもの」
後継者の出発式でこう訴えたのは、今期で勇退する反市長派の島袋権勇議長。これまでずっと、基地と引き換えの地域振興や経済発展を強調してきましたが、当の候補たちは「基地問題」を口にしません。
島袋権勇議長「争点については考えていないと思いますよ。慎重に対応するというのが候補者、野党候補の皆さんでしょう」
そこにも、こんな事情がありました。
政権交代を機に、一気に県民の期待が高まった普天間基地の県外、国外移設。わずか8カ月で政府は方針転換しましたが、その「うねり」は政府への怒りや不信感に変わり、増幅しています。
時勢の風に敏感な無党派層が、現状をどう読むのか。その動向が注目される市議選にあって「基地問題を争点にするのは得策ではない」候補者の中には、そう考える向きもあるのです。
島袋権勇議長「(Q:基地問題について、どういう風に主張して、戦ってほしいか?)まずは当選した後に、候補の考え方を聞きながら。過去の経緯も見ながら、議会の取り組みを当選後に」
反市長派の後ろ盾となっている島袋吉和前市長の支援組織「和の会」も17人全員の当選を目指していますが-。
荻堂盛秀商工会会長「(Q:荻堂さん、市議選どうですか?)市議選、さっぱりわかりません」
選挙については、口を閉ざします。
市長派と反市長が対立し、政府もその行方を注視するなど、それぞれの思惑や人間関係が複雑に絡み合う選挙。今の情勢を「無党派層」がどう判断するのか、投票日はいよいよあさって12日に迫っています。
まちを二分する戦いとなっている選挙ですが、市議選の2日後には民主党の代表選も控えていて、その結果によっては基地問題の方向性がまた変わる可能性もあります。
名護市の人々は、いつも重い選択を強いられています。いずれにせよ、まちにとって基地を受け入れるか反対するかは避けて通れない問題。じっくり考えてその一票を投じてほしいです。