名護市が誕生してから40周年の記念式典。歴代の市長や議員たちが集まり、祝賀ムードに包まれた会場でしたが、その裏側では来月の市議会議員選挙を前に、早くも稲嶺市政与党と野党が激しい火花を散らしていました。
野党・島袋権勇議長「我々としては、過半数以上はとってもらいたいという大きな願望がありますので」
与党・比嘉祐一市議「稲嶺市制を支える与党としては、しっかりと過半数を獲得して安定した行政をやっていきたい」
「基地建設反対」を明言し、1月の選挙で初当選した稲嶺市長。しかし市議会は現在、野党が過半数を占めていて、今度の選挙で巻き返しを図りたいというのが市長の思いです。
こうした中、先月には、島袋吉和前市長を支援してきた「和の会」が合同激励会を開催。稲嶺市長と対立する野党の立候補予定者など15人が参加しました。
野党・島袋権勇議長「当然、基地問題は避けて通れる話じゃありませんので、真正面から取り組んでいってもらわなければと思います」
「和の会」相談役・荻堂盛秀商工会会長「『条件作って、受け入れましょう』と言ってきたのに、またここにきて、振り出しに戻った」
野党・宮城義房市議「北部地域で一番の問題は人口の問題、それと同時に大事なのは若者に仕事があるかどうか。仕事をつくるような仕組みを作っていかなければならない」
「和の会」相談役・北部地域振興協議会・仲泊弘次特別顧問「市長を選ぶにも民意が反映される。そして27名の議員が選ばれるのも民意としてどうやっていくかということで、判断になるのではないかと思う」
そこにはこの人も。仲井真知事が、いわゆる基地容認派が推す候補予定者の支援を表明したのです。『あんまりいろんなことを考えない方がいいかもしれませんよ。僕を応援してくれた人の選挙は当然応援する。これ当たり前ですよ』
こう話す知事ですが「県内移設は厳しい」と言いながらの行動には矛盾を感じざるをえません。
誕生から半年。稲嶺市政の船出は厳しいものでした。「普天間基地の県外、国外移設」を掲げていた民主党が、政権交代からわずか8カ月で方針転換。野党が過半数を占める市議会では、度々、「基地建設容認決議」や「市長リコール」の話も囁かれ、厳しい議会運営を余儀なくされたのです。
また兵糧攻めも始まっています。基地建設に協力した市町村に支払われる再編交付金。名護市はこれを財源に小学校の統合事業などを始めていますが、今年度になって6億円の支払いが保留になっているのです。
「稲嶺進を支える会」を結成し、市長を支援している森山憲一さんは次のように語ります。
久辺3区 稲嶺進を支える会・森山憲一副会長「これは相当危機感を感じているんじゃないかと思います。市長としてはプレッシャーを感じていると思う」
稲嶺市長の後援会が主催した与党の候補予定者18人の合同激励会。市長は訴えに、強い決意をにじませました。
稲嶺市長「名護の民意はあの1月24日(市長選)に示した答えなんだともう一度示さないといけない」
与党・荻堂盛光市議「どんなに市長が素晴らしい提案をされても、議会で過半数をとれないことにはどうしようもない」
与党・屋比久稔市議「負けられない戦い、18人の仲間、進を助けるため、みんなで頑張ろう」
照屋剛さん「今度の市会議員選挙で過半数をとってとどめをうつのが、この市会議員選挙の重要なポイント」
当初は8月末までに工法や位置などを決めるとしながら、それを11月の知事選以降に先送りした政府。地元の反発が残る中、今回の市議選と知事選の結果に、問題解決の突破口を見出したいという意図が見えます。
政権交代したものの、結局、辺野古に戻ってきた基地建設計画。今回の名護市議会議員選挙は、国の重要課題・基地問題を左右するものとして注目されています。