きょうは旧暦の3月3日浜下り。普天間基地の移設先として取りざたされているうるま市の勝連沖では反対派の市民グループが自然観察会を企画しました。
浜下りを企画したのは、うるま市民協議会の伊波義安さんです。伊波さんには忘れられない出来事があります。1970年代、東海岸の金武湾をおよそ1000万坪埋め立て、臨海工業地帯を造ろうと計画された「金武湾開発構想」。
中でも平安座島と宮城島の間の64万坪を埋め立て石油備蓄基地CTSを造るという計画には強い反対運動が起きました。
伊波義安さん「海を埋立てて、石油基地を造ってしまうと、油で汚されるし、海もダメになるということでしたので、どうにかできないかというときに、何名かの人が声かかって地道な運動を積み重ねていくわけです。」「小さな地域に国策を持ち込むのですよ。地域でどうなるのかというと、反対運動している人たちの車の窓を割ったり、嫌がらせもあるわけですよ。村を二分したわけですよ。」
住民たちの反対で1000万坪の埋立ては食い止められました。しかし、あの64万坪の埋立ては進み、潮の流れが変わった海では魚が激減。ウミガメが産卵にやって来る美しい砂浜にはタンカーから垂れ流された重油の塊が打ち上げられました。
特に70年代後半には重油漏れ事故が相次ぎ、大量の重油が海底に溜まり、海に潜った漁師が体についた油をガソリンで洗い落さなくてはならないという異常な事態になったのです。
伊波義安さん「1メートル60センチもヘドロが溜まっている、海中はウニやモズクが完全に破壊されて、サンゴが破壊されていましたから。」
伊波さんは海の汚染を嘆くベテラン漁師の話を新聞に投稿しました。「私たち漁民は銀行に預けるお金はありませんが、お金が作れる大きな漁民銀行を持っているというのが自慢です。漁民の銀行というのはこの海なんです。今までは大きな銀行を持っていたので心配ありませんでしたが、これからはこの銀行も役立たなくなり、お金を借りなければ生活していけなくなりました。」
あれから30年余りを経て再び勝連に浮上した基地建設計画。しかし、これが思いがけない発見につながりました。改めて海の中を調べたところ、そこには予想以上の美しい光景が広がっていたのです。死滅したサンゴの上に再生しているんですよ。
伊波義安さん「こうして再生しつつあるのを見ると自然は凄いな、人間は自然に生かされているんだと再度考えるべきじゃないかと思うし。」
そしてきょうの浜折り。伊波さんは強く決意したといいます。以上Qリポートでした。