深夜、騒音を撒き散らし他のドライバーにも多大な迷惑をかける暴走族。沖縄は全国的にみても検挙数が多い地域です。彼らはなぜ暴走行為をするのでしょうか。中村記者です。
深夜になると騒音を撒き散らしながら、国道を我が者顔で走る暴走族。そのほとんどが、少年たちです。一般車両の交通を妨げ、空ぶかしや旗を降りまわし、打ち上げ花火まで発射するなどやりたい放題です。暴走族による被害がとくに集中するのは国道58号線、浦添市仲西から宜野湾市大謝名の間、およそ4キロ。沿道に住む浦添市の仲西自治会長・島田勝男さんは、暴走族に対して憤りを露わにします。
島田さん「夜中ですよ2・3時。「ボファンボファン」とくるから、びっくりしますよ飛び起きますよ、僕らも何回も被害にあっていますけども。深夜ですよ。昼の3倍4倍に聞こえますからね。」
騒音による不眠症などで体調不良を訴える住民からの相談件数が増えてきていて、深刻な問題であると島田さんは話します。 島田さん「年配の方なんですけどまったく眠れなくって。ずっとボぉーとしているということで現在はもう病院に入ってしまいましたよ。」
こうした住民らの声に対して県警は暴走族根絶に向けて徹底した取り組みを行っています。暴走族が出没した現場に白バイや捜査車両の投入し、現場での取締りを強化しています。
県警山内浩暴走族対策官「現場検挙を原則としています。しかし、警察官の停止を無視して逃走した場合、現場検挙に至らなかった場合は、徹底した捜査活動や検証活動を実施いたしまして、被疑者を検挙、悪質な場合は逮捕するといった強い姿勢で臨んでいます。」
暴走行為などで検挙された数は、去年の1年間で242人で全国でも5番目。去年、暴走族のグループ数は42、構成員は350人あまりです。過去5年の統計を見るとグループ数は横ばいですが、構成員は年々増えています。
構成員が増えた要因として、暴走族を取り巻く「期待族」の存在が大きく、新たな暴走族の構成員になる指摘します。
Q.期待族とは? 県警山内浩暴走族対策官「期待族につきましては、暴走行為をあおるばかりではなく暴走する仲間に加わり、一緒になって暴走するといった現状があります。暴走族グループと期待族が携帯電話で連絡を取り合い、取締りや暴走行為をどこでしているかなど情報交換をしているため、取り締まる警察と逃げる暴走族のいたちごっこになってということです。」
そんな警察に対して住民は。 島田さん「(警察の取り締まりについて)十分だとはまったく思ってませんけれども」「精神的な加害行為によってですね、眠ってない眠れない大人の人がいるとくに沿道住民に多大な迷惑を掛けているということを自覚してほしい。」
暴走族に所属していた元少年「暴走族走っている姿見て、特攻服つけて、旗まわして、これみてかっこいいなと思って。」
暴走族に所属していた元少年が本格的に暴走行為に参加したのは16歳のとき。目立ちたいという気持ちから、17歳で特攻服に袖を通し暴走行為を繰り返していました。
暴走族に所属していた元少年「目立っているから自分がムービー取られたり、写メ取られたり自分が一番だなぁと。まったく(ない)、考えてなかったと思う。ただ、楽しければいいと自分が。」
「目立てばいい」と思っていた彼の心の中は、家庭のなかの悩みがありました。
暴走族に所属していた元少年「自分が気づかないうちにストレスっていうか家族に対してそんなのもあったと思うし、なんか爆発させたい、今までたまったうっぷんとか、小さいころからの。それを発散できるのがこの暴走だったから」
そしておよそ3年間、少年院に入った元少年は、ある日の深夜、暴走族の騒音で目を覚ましたということです。
暴走族に所属していた元少年「住民の人と同じような立場になって、普通の生活していたらこれだけ迷惑なんだなぁとか。」
彼は当時のことを振り返って今の気持ちについて。 暴走族に所属していた元少年「そのとき楽しくても、後々考えたら無駄なことをしていたみたいなそういう風に思うよって絶対。そう言い切れるっすね。」
暴走以外のことで、早く自分のやりたいことを見つけて時間の無駄にしてほしくないと話していました。家庭などで抱えた様々なストレスを暴走行為で発散する多くの少年たち。彼らの心の叫びをどう受け止め、向き合えばいいのか。社会には、彼らを孤立させない対策が求められます。
家庭環境など悩みを抱えている しかしその悩みは暴走行為で解決するものでもなく 人に迷惑をかける暴力的な行為である事にかわりはありません。予備軍となっている期待族の「かっこいい」という価値観はこどもが小さいころから、あれはみんな迷惑でかっこ悪いんだよと教えるなど、暴走的な行為を許さない社会をどう作っていくか地域で話し合う事も大切です。