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現職と新人が一騎打ちの闘いを展開した名護市長選からきょうで1カ月。初当選した稲嶺市長は先週上京し、「辺野古に新しい基地は造らせない」という公約を直接、総理にも伝えましたが、政府の中では、与党の国民新党が移設先として「キャンプシュワブの陸上案」を強く推していて、名護市も全く油断が出来ない状況です。政府はどんな形で最終的な決着を図ろうとしているのか?岸本記者です。

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稲嶺名護市長(総理官邸)「海も陸も含めて、造らせませんということで市民に約束してきたということを申し上げた」

先週、市長就任後初めて上京し、総理に「新たな基地は絶対容認できない」と直接、伝えた稲嶺市長。しかし、同じ日。防衛大臣「北沢でございます。」県軍用地等地主会連合会 浜比嘉勇会長「浜比嘉です。土地連の会長をしております。」防衛省を訪れた、県内の軍用地主の代表と、キャンプシュワブ陸上案を主張する国民新党の下地議員は市長とは正反対の動きをしていました。

県軍用地等地主会連合会 浜比嘉勇会長「名護の地主会の会長です。辺野古です。」下地議員「(防衛大臣に対し)握手したらどうですか?ワハハ」防衛大臣に対し、アメリカ軍基地の土地の借り上げ方法の見直しと賃貸借料の値上げを要求した地権者達。

県軍用地等地主会連合会 浜比嘉勇会長「辺野古のキャンプシュワブですね。借料としてどれくらい支払いがされているか。(一平方メートルあたり)年間138円。月にしたら10円ちょっとしかない。」「仮にシュワブ陸上案でOKしても借料が10円では、貸せませんよという声が地権者からあるのでその辺もしっかり見直してほしいと(伝えた)」

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Q「一部報道でシュワブ陸上案をアメリカ政府に伝えたという報道がありますが?」下地幹郎議員「私は最善策だと思って提案してますから、シュワブ陸上案に決めることで、普天間基地の危険性の除去。嘉手納の騒音が早めに無くなると。その案による負担軽減を先にやりたいという思いは変わりませんから」

一方、県外・国外にこだわる社民党は、与党でつくる検討委員会に提案して、グアムを視察。カマチョ知事は「今、予定されている8000人以上の海兵隊員は受け入れらない」と回答しましたが、社民党は、まだ望みはあると見ています。

社民党 阿部知子 政審会長「グアムの人達の海兵隊移転を受け入れる感情をもっと良いものにしていかなくてはならないそういうものが充実すれば、まだ可能性はあると思います」

グアムが現在の計画以上の受け入れに消極的な姿勢を見せる一方でグアムのすぐ北にあるテニアンの市長は海兵隊の受け入れに前向きな姿勢を示しました。

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テニアン市 デラクルス市長「沖縄の基地の受け入れにグアムの人達が反対しているのならテニアンが代替地を提供したい。米軍によって、テニアンの経済を刺激し、発展させたい」

しかし、日本政府はこのテニアンへの移設案には慎重です。Q「テニアンを普天間の移設先として検討に入れるか?」平野官房長官「テニアンとかサイパンの話というのは、検討委員会の土俵には全くなかった。その議論の中にこれを含めていくという議論にはなっていない」

県内の他の国会議員の猛反発を受けても、シュワブ陸上案にこだわる国民新党の下地議員。照屋寛徳議員「みんなでシュワブ陸上案は撤回しなさいと(下地議員に)言った。でも撤回するとは言わんさ。」下地議員「なんで、社民党は私達の案を批判するんだ。こんなことをされては今後、社民党とは協議できない」

与党内の意見も全く噛みあわない中、沖縄を訪れた平野官房長官は「県外がベスト」と述べる知事に対し、こう述べました。

平野官房長官「常にベストを求めていきますが、やっぱりベターになるかもしれません。これも政治ですから、そこは大先輩ですからご理解いただいた上でご判断を、また、いただきゃならないし」

検討委員会をまとめる立場にある平野官房長官の「ベター」とはどこなのか?その中身に注目が集まっています。

岸本さんシュワブ陸上案に序々に近づいているという印象をどうしても受けてしまいますが・・・。

そうですね。官房長官は、いろんな案を比較してその中で、一番ベターな案を選ぶと言っているだけなんですが、県民には、そう聞こえてしまいますよね。今後の流れを改めてこちらで説明したいんですが、まず来月、社民党と国民新党がそれぞれの案を検討委員会に出すんですね。

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これは予定では今月に出される予定だったんですがすでに1か月遅れています。そのあとに、民主党が独自の案を出す予定で3党で出揃った案を検討して、5月末までに正式に移設場所を決めるという流れになっています。

そこで結局、「辺野古」ということになると、また大変なことになりそうですが、5月までに移設先を決めるということが出来るんですか?

どこまで強引にやろうとしているのか分かりませんが、非常に難しいですよね。また平野官房長官はこの来月にも出す党独自の案を公表しない方針なんですね。それは何でかというと、これまで名前が挙がった場所では長崎や鹿児島・もちろんきょうの沖縄県議会も含めて、どこでも地元の猛反発が先に来てしまう。

これを官房長官としては、避けたいということで、今後、流れが非常に見えにくくなる可能性もあります。でも地元の頭越しでは、解決しないということは分かっていますよね。

そのやり方は自公政権でも失敗して明らかですよね。また、オバマ政権も支持率が序々に低下していて、 どうしてもアメリカ国内の政策を優先せざるを得ない。そうなると、安全保障については、同盟国の理解と協力を基にうまくやっていきたい。

つまり、日本の話を聞く姿勢にはなってきている訳です。だから、日本政府としては、この機会をとらえて、何も「5月」という目先の期限に縛られずに、これからの「日米同盟をどうする」という根本的な議論をアメリカ政府としていくべきだと思いますね。