シリーズでお伝えしている名護市長選２０１０。きょうは、経済から見た市長選の争点を探ります。
刻一刻と変化する、世界の為替レートを睨みながら外国為替取引を行うディーラーたち。外国為替保証金取引大手の外為どっとコムは、３年前に、東京本社に並ぶディーリング業務の拠点として名護市の豊原地区に支店を開設しました。この部屋で、多い日には1日に3000億円もの売り買いが展開されます。
メイン業務を行う、カバーディーラー11人は、全員が県内出身者。全従業員およそ100人についても９割以上が県内出身者です。これらの企業が入居する建物は、基地と引き換えの振興策で整備が進んだものです。
こうした振興策には、97年度からの島田懇談会事業、98年度からのＳＡＣＯ事業のほか、普天間の辺野古移設の閣議決定を受けた2000年度からの北部振興策や2007年度からの再編交付金などがあります。
これまでに名護市に投入された振興策は、合わせて500億円余り。こうした振興策を含めるといわゆる基地関連収入は、単年度の名護市の歳入のおよそ２割を占めています。
鳩山政権は、普天間移設の現行案の見直しを掲げる一方で、振興策を北部活性化特別振興と名称を変更。2年間の延長を決定し、来年度予算には70億円が計上されています。
比嘉鉄也元市長「（基地と北部振興も含めて、基地があっての、、、）あの時、あなたも分かる通り、基地問題と北部振興はリンクしないとはっきりいったんだから」
島袋市長の選対本部長で元市長、比嘉鉄也さんは、そもそもこれまでの振興策は、基地と引き換えではなかったとの認識を強調します。
島袋市長「企業誘致としまして、これまで25社の、雇用においても、950名余の雇用が生まれたわけであります。」「法人、市民税の前年度伸び率が全国で4位にランクされております」
保守市政で長年、政府から引き出した振興策。島袋市長は、これらを最大限に活用した これまでの実績を強調します。
島袋市長「相手候補の皆さんが、財政は大丈夫なのかとか、いろんなことを言っておりますが、確実に財政は良くなっておりまして、確実に財政は良くなっておりまして、しっかりとしたこれからの行財政改革をやっていきたいと思っているところであります」
自らを企業誘致のトップセールスマンと語る島袋市長。リゾートタウンや、金融、情報通信国際都市の形成を掲げ、拠点施設の整備は、まだ道半ばだと訴えています。
島袋市長「いっぱいですね、沖縄に企業誘致、名護に企業誘致をして名護の皆さんがしっかりとこう、働く場所を確保する」
一方、名護市中心部にある、ハローワーク名護。平日は、若者を中心に、多くの人で込み合います。名護市の失業率は12.5％。県内の市町村の中でも高く有効求人倍率は、ここ数年、毎年県の平均を下回って悪化しています。
求職者「名護だけで探すとやっぱり、難しいかなっていうものが」求職者「1週間に４、５回ぐらい来る、４、５回ぐらい来ますよ」求職者「仕事がないですよ」求職者「仕事のほうは、ほとんど無いですね。あるにしても同じのばっかりだし」求職者「厳しくなる一方じゃないですかね」「営業とかですね、そのほうが今、給料、まあいいので、頑張り次第で上がるじゃないですか。」「仕事が少ないなっていうのがあって、ちょっと今探すのが精一杯ですね」
経済危機のあおりも受け、おととしから去年にかけ、市内では建設業を中心に15社が倒産しています。
稲嶺候補「基地に頼らない、新しい振興策をこのことで勝ち取り、私たち名護やんばるの振興発展をはかっていくべきだと」玉城デニー衆議院議員「鉄道を通すその予算が決まったことです」
立候補を表明している稲嶺さんは基地と引き換えとされた、これまでの振興策を批判する一方、鳩山政権の新たな振興策は、基地と全くリンクしていないと主張、鉄道調査費の来年度予算への計上など新政権とのパイプを強調します。
稲嶺候補「これからの時代、やっぱり環境であるとか、健康であるとか、いわゆるその高齢化を迎える中で、福祉であるとか、介護であるとか、ということが求められるし、それがまた産業につながる」
稲嶺さんは、地域の特色を生かした地場産業の育成を強調します。
稲嶺候補「今観光も、体験型、交流とかそういう方向に向いてきていますからね、そういうことができるのはやっぱりやんばるのほうが素材を多く持っているわけですから」
長引く不況で、県内経済も厳しい局面を迎えている今、市民は誰に、これからの暮らしを託すのか？判断が注目されます。