人工透析と腎臓移植の経験を持つ、透析技師の仲里則男さん。オーストラリアで開かれる「世界移植者スポーツ大会」へ参加します。ここは仲里さんが経営する会社。透析関係の医療器具を中心に取り扱っています。技師として病院に勤めながら会社の経営もこなしているのです。
社名の「松正」は、腎臓を提供してくれた父親の名前。社員には、自分と同じ、透析や臓器移植の経験を持つ人を採用しています。
仲里さん「親父の名前をつけることによって、一つの親孝行かなと。また挫けそうになった場合でもですね、親父の名前をつける事によって、自分の中でがむしゃらにできるかなと」
この会社には、仲里さん以外にも、世界移植者スポーツ大会に参加した女性がいます。日本では、臓器移植法ができたばかりの12年前、海外では、臓器移植が一般医療として定着している国もあることに驚いたと言います。
裁さん「その大会に、ドナーファミリー(臓器提供者の遺族)の方が見えてて、<I Proud of my son>って言うんですよ」「あ〜、こんなに(臓器移植が)受け入れられている国もあるんだ、というので」
同僚「無事に帰ってきて、できたらメダル一個ぐらいでも持ってきてくれたらと思います。頑張ってください」
仕事を終えた仲里さん。この日は、前回金メダルを取ったボール投げ競技に向け、息子とキャッチボール。
長男翔太さん「沖縄のいろんな人が、頑張ってきて、とか、いろんな応援の言葉をもらっているんで、自分の父さんなら、やってくれると思います」
仲里さん「腎臓を移植してもらっているんだという感謝の気持ちを踏まえて」「何か恩返しができればと。その結果としていいものができればいいんで」
周囲の期待を受けて出発です。「オーストラリア・ゴールドコースト」今回の世界移植者スポーツ大会には、45カ国から、およそ1000人の臓器移植経験者が集まりました。心臓、肺、肝臓、腎臓など、移植した臓器は人によって様々です。
大会代表オリビア・コステアさん「The aim of the world trasplant games is the… emphasizing their wellness of the pupulation」(目標は、臓器移植を広めることです。そして彼ら移植者の健康を強調することです。)」
「Gift of Life」。命の贈り物といわれる臓器提供への理解を深めようと、移植者たちは2年に1度、こうして集まり、思い切りスポーツを楽しむことで、臓器を提供してくれたドナーへの感謝を示すとともに、臓器移植医療の発展を訴えているのです。
いよいよ競技が始まります。仲里さんの1種目の試合は、ボウリング。沖縄でも毎週のリーグ戦で鍛えた腕前で、メダルを狙います。ダブルスでは、同じ腎臓移植者の野口さんと組んで、次々にピンを倒します。スコアはいきなり168をマークしましたが、まだまだ不本意な様子。一方ペアの野口さんは、仲里さんを上回るペースでスコアを積み上げ、200点超え。終始、他の国のペアを圧倒して3ゲームを投げきりました。
結果は嬉しい金メダル。過去に参加した大会でも、ボウリングでは始めてのメダルが、金メダルです。
仲里さん「野口さんに助けてもらって、金メダルを取ることができてですね、非常に、素直に喜んでいます。少し足を引っ張ったところはあるんですけど、素直に嬉しいです。」
この日、仲里さんは、シングルスとあわせて、ボウリングを6ゲームをこなしました。翌日は、バドミントン。本当にタフな日程です。さすがに前日の疲れが足に来たのか、バドミントンでは思うような動きができず、初戦で敗退してしまいました。
仲里さん「ボウリングは疲れて笑顔とか出なかったけど、バドミントンはね、笑いが出るような感じだった。自分では満足してます」対戦したイギリスの男性「彼は良いプレーをしていました。ハードな対戦で熱くなりました!」対戦したイギリス人選手も健闘を称えます。みんな、勝ち負けよりも移植者同士の交流が楽しみなのです。
<Q.臓器移植についてイギリスでの認知はどうか>
「Yes, I think most people, I think, um, same to Australia 90% in the UK population agreement organ tranplantation, but not everybody sign’s up to the organ … register」(イギリス人のほとんど、オーストラリアと同じくらいの90%の割合の人は、臓器移植に賛成していると思うが、誰も登録しないんだ)
臓器提供への理解が進まないという問題は、日本に限ったことではないようです。あすは日本と世界の移植事情と、今年、12年ぶりに改正された臓器移植法についても考えるレポートをお送りします。