きのう公示された衆議院選挙。候補者達は、街頭演説などで自分の考えや党の主張を有権者に訴えていますが、各党の政策が項目ごとに記され、有権者が比較しやすいように作られているのが政権公約、マニフェストです。きょうは、マニフェスト選挙の意味と各党の安全保障と経済・雇用政策を比較します。
自民「自民党の政権公約」「私が訴えたいことは責任力です」
公明「ぶれない政策とやり抜く力」
民主「国民の皆さんが主役になる政治を創り出していく」
社民「生活再建を目指す」
共産「憲法通りに主権在民の国。国民主権の国へ」
国民新党「輝け日本!という言葉を国民新党の〜」
各政党が公示日前に発表したマニフェスト。
ラテン語の「手(manus)」と「打つ(fendere)」が合わさった言葉という説が有力で、「手で感じるほど明らかな」から「はっきりと示す」という意味に派生したと言われています。日本では、今から10年前の統一地方選の頃からマニフェストが作られるようになり、言葉自体は序々に国民に浸透しつつありますが。
街頭 Q、マニフェストって言葉には慣れましたか?市民「A、分かりますけどね」「やっぱり個人個人の人柄で決めます」市民「見てますけど、みんな似てて同じような印象を受ける」市民「私は年寄りで、こんなのはあまり知らない」
候補者を選ぶ手段としては、まだ上手く活用されていない印象も受けます。従来の選挙公約と、マニフェストとはどこが違うのか?行政法を専門とする沖縄大学の仲地教授はこう指摘します。
仲地教授「従来の公約というのは、それぞれの政党がどのような国家を作ろうとするか、どういう社会を実現しようとするのか将来目標という意味合いが強かった」「それに対して、マニフェストというのはこれからの何年間で例えば4年間で、何をどこまでどのくらい実現しようとするのかというのを具体的に述べるというのがマニフェスト」
現在の計画では、来年秋に基地建設のための海の埋め立てが始まる名護市辺野古。
麻生首相「地元の声に十分に配慮しつつ、日米で決めた工程表もあるので」
基地建設を着々と進めたい自民。
鳩山党首「(普天間の)県外移設を目指すという考えを変えるつもりはない」
鳩山代表はかつてこう述べていましたが、マニフェストには、普天間の県外移転を盛り込みませんでした。
仲地教授「政権が現実になろうとするとトーンを弱める」「(民主党は)県外ということを強調するが、現実的にどこが(基地を)受け入れるのかということを述べることは出来ない」「(自民党は)沖縄の負担軽減をしますというのも従来通り」「これまで実現できなかったのが、これから4年間で実現する力があるのか、自民党は問われる」
また、公明党は日米安保体制を堅持する立場で、社民党は、新基地建設による機能強化に強く反対。共産党は、日米安保条約を破棄して自衛隊の海外派兵も認めず、国民新党は、新しい日米同盟を追求し中国やロシアとの連携を目指します。幸福実現党は、憲法9条を改正し防衛体制の確立を目指します。
しかし、有権者の中にはこんな厳しい声もー
市民「結局政権を取った後に、どれだけ実行するのか信用ならない」市民「みんな公約は良い。」市民「当選するまでは何としても当選しようとするが当選したら何やってるか分からない」
仲地教授「従来の選挙公約と同じように出来ないことでもやろうと。やりますと。(政策の)ばら撒きになっている」
QABのWEBアンケートでも有権者の関心が一番高かった経済・雇用対策についてはー
(幸福実現党)消費税・相続税・贈与税をゼロに。
(国民新党)正規雇用への転換奨励金の拡大。
(共産党)介護・福祉労働者の賃金を3万円アップ。
(社民党)最低賃金を1000円以上に。
(民主党)製造現場への労働者派遣を原則禁止。
(公明党)非正規労働者の社会保険制度の拡大。
(自民党)医療・環境分野を中心に今後3年間で100万人の職業訓練実施。
厳しい経済情勢の中、どの政党も有権者を引き付けようと必死ですが、仲地教授は、マニフェストをただの絵にかいたモチにしないために有権者にも責任があると強調します。
仲地教授「マニフェストをきちんと記録して私達の記憶の中にですね」「そしてマニフェストが実現できなかった政党は退場をお願いすると」「それが政党と有権者の約束であり、マニフェストの意味だと思う」
私達も、次の選挙の特に、各政党のマニフェストの達成度をしっかり個人個人がチェックするというところまでいかないと、マニフェストは本当の意味を持たないのかも知れませんね。あすは、子育てや環境政策のマニフェストを比較します。