ゴールデンウィークは、やんばるに出かけたり自然の中で楽しんだという方も多いと思います。そんな植物の効果を医学にも取り入れた園芸療法という治療法をご存知でしょうか?その活動を取材しました。
新緑が芽吹く季節5月。自然の中にいると心もからだも穏やかになり自然のパワーを感じるという方も多いのではないでしょうか?本部町伊野波にあるひろみ園では、梅の収穫の時期を迎えています。
Q.自然の中でこういう作業するのは、いかがですか? 梅の収穫する人たち「あーとても気持ちいいですね。」「楽しいです。」
今そんな植物の持つ力を医学にも取り入れた園芸療法が注目を集めているのです。園芸療法とは、心や体に病を持っている人たちや高齢者を対象に園芸活動を通して治療やリハビリを行うこと。アメリカやイギリスでは、認知されさかんに行われている治療法ですが、日本では、1990年代に取り入れられたまだ新しい取り組みです。
うるま市にあるいずみ病院。精神科や認知症を中心としたこちらの病院では、積極的に園芸療法を取り入れています。
喜友名さん「季節ごとに咲いていくのがこの環境の特徴なので1月には、いちはつが咲いたりとか、2月にはつわぶきが咲いたりとか」
喜友名隆史さん。沖縄県立農業大学校を卒業後、全国で唯一園芸療法を認定している兵庫県の資格を取得し患者と向き合っています。
喜友名さん「太陽浴びながら植物探していきましょうか?」
この病院では、植物を育てるだけでなく、週に一度、患者さんを集めて病院内の敷地を歩く「見歩く会」というものを実施しています。この日は、心に不安を抱える患者など25人が参加しました。ゆっくり歩きながら季節の花々を探して行きます。この時期には、イジュの花や 月桃が咲き誇っています。
「くちなしの花もまだありますね〜。」「においしてみます?」「んーいいにおいする今こっちだけしか残ってないかも」「シャンプーにも使われますね。」
普段何気なく通りすぎてしまいそうな植物にも目を向けて気づいてもらえるように声を掛けていきます。
「これ触ったら気持ちいいですよ、レッドパフ」
急ぎ足で歩いて周りを見る余裕もない様子だった患者さんも、次第に表情が和らぎリラックスしてきたようです。
「食べる?」「すっぱいと思います。」「すっぱいかも?」「あっこれすっぱい」「笑」
一万5000坪の敷地には、およそ300種類の植物が植えられ、春夏秋冬それぞれの季節を感じられるように工夫されています。
見歩く会ひさしぶるに参加してどうです? 参加者「楽しいです。朝のうちに外を歩くのって気持ちいいですね。」
20年前から園芸療法を取り入れ日本園芸療法学会の理事長を勤める高江洲医師は、その効果をこう指摘します。
高江洲理事「自分の症状を自覚しない人が多くて、ここにゆりが咲いているとか、くちなしがまだ咲いていたとか、自分の中にある感情に気がついたりそれを媒介にしてお友達と話ができたりして心の病、あるいは体の病で来ている人でも,自然とか山とか緑とか触れ合うことで回復が早くなりますね。」
又、5月病とも言われるようにストレスを感じやすいこの時期。この療法を薦めたいと話していました。
「森の中を歩くことによって非常に心が沈静化される体がリフレッシュされる疾患に問わず健康な人も含めて大事なことでありますしね。ぜひ普段から緑に親しんでもらってできればみじかなところで緑を育てていけばさらに健康になるんではないでしょうか?」
自然の力ってホントあるんですね〜。この日は、東京農業大学から園芸療法士を目指す学生たちが実習に訪れていましたが、今学生の間でもこの園芸療法士に人気が集まっているということです。また、最近では地域や障害者施設などの場所に園芸を提供する園芸福祉士という資格もあるようです。