「シンチャオコー(こんにちは)」先週木曜日、空港でベトナムからのお客さんを迎えるメッセージシンガーの会沢芽美さん。この日、沖縄を訪れたのは、ベトナム戦争で巻かれた枯葉剤により結合性双生児として生まれたあのベトさんドクさんの主治医であるタン先生。
出会いはちょうど1年前。ベトナム戦争中、一人の女性が恋人に宛てた手紙を歌にした「ハノイの恋人」、このメッセージソングを歌い続けてきた会沢さん。これがきっかけとなり、去年、平和村でのコンサートに招かれました。そこで枯葉剤の影響を受けて生まれた子どもたちに出会います。
会沢芽美さん「枯葉剤のことはベトちゃんドクちゃんしか知らなかった私が、今も生まれているということがショックだった。枯葉剤ダイオキシンはこんなにも人を不幸にするんだ、いつまでも不幸にするんだと知ったからには伝えないと」
そして去年、ドクさんを招く「平和村からのメッセージ」は動き出しました。実は、会沢さんにはもう一つの顔があります。それはペンションのオーナー。17年前、歌手には致命的となる喉のガンが見つかったことがペンションを始めるきっかけでした。
会沢さん「『歌えなくなる』と。今まで全国で出会った人に沖縄を見てもらって、私がピアノを弾いてみんなに歌ってもらえばいいと」
昼はガイドとなり戦跡を案内し、夜は歌で平和を訴える毎日。「メッセージシンガーとして平和の心を伝えるのが責務」その気持ちはペンションを訪れる人たちの心に確実に響いていました。自分の言葉でも伝わる。ならば、ドクさんに伝えてもらったら・・・。期待は高まります。しかし、本番1週間前ドクさんは体調を崩し、出演できなくなりました。
会沢さん「目的は枯葉剤・環境問題・命。コンセプトは変わらないんだということで」 その会沢さんの想いに答え舞台に上がったのが、タン先生。ベトさんドクさんの主治医として、そして平和村の村長として会場の人々に熱心に語ってくれました。
タン先生「枯葉剤を浴びた女性は不妊になったり流産を繰り返します。無事妊娠しても胎児と母体が一緒にガンにかかることもまれではありません。地の中のダイオキシンは外へ出せても、人間の体に入ったダイオキシンは命が受け継がれる限り、外へ出ることはありません」
「ハノイの恋人」♪爆弾で両足を失った私はあなたの前にいくなんてとてもできません♪
お客さん「素晴らしい本当にここに来てよかった」「ベトさんドクさんと同級生なんですけど自分も(枯葉剤の被害を)知ったかので、また伝えていきたいと感じました」「若い世代の人たちが意識が高くなる場所を提供してもらったり、それをきっかけに提供することができれば」
読谷村文化協会副会長・古堅さん「彼女のバイタリティーには驚きました。最高の催しでした」
会場に集まった人々は平和村からのメッセージで胸をいっぱいにして帰りました。
会沢さん「どうもおかげさまで、とても心配したんですけど。ありがとうございます。また頑張ります」