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不発弾処理や事故後の補償問題についてお伝えするリポートの2回目です。不発弾を取り巻く現場と行政を取材しました。

仲井真知事「本来は国が全面的に、徹底してもっともっとやるべきものだという感を強くします」

上原糸満市長「当然、戦後処理の一環という立場からすれば、国のほうで補償すべき」

1月の不発弾爆発事故後相次いだ、国の予算での被害者補償や不発弾処理を求める声。

政府は、事故から1ヶ月足らずで、不発弾事故の見舞金などに充てるための基金の創設を発表し、県議会も基金を運用するための条例を可決するなど対応を急ぎました。

しかし…、およそ8000万円の被害を受けた老人介護施設は、ほとんど事故直後のままという現状。窓はふさがれ、空調も壊れたままの部屋も多く、不便は解消されていません。

また、公共工事での磁気探査を義務付けた糸満市の財政にも不安がよぎっています。

糸満市・国吉建設部長「市民の税金をそこに当てるということ自体、負担を強いることになりますので」

新設される基金は、磁気探査費用には充てられません。そのため、市は今後5年で最大2500万円以上の市民負担が生じると試算しています。

そして、建設現場にはより根深い問題があります。こちらは爆発事故後、すぐに磁気探査された事故現場の隣の工区。

「石と石との割れ目の中にロケット弾があった。(石を)割ってるときに、一緒に転げ落ちてー」

工区内のほとんどで掘削が終わっていたため、磁気探査をかけたのは、マンション1棟分ほどのわずかなエリアでした。しかしその範囲だけで、ロケット砲弾1発が発見されたのです。現場には、衝撃と「やって良かった」という安心感が交錯したといいます。

ただ、磁気探査をすぐに導入できたのは公共工事だからこそ。この工区を担当する上原さんは、民間工事でも、発注者や業者の負担無しに磁気探査できる体制の必要性を感じています。

三清土建・上原代表取締役「何で公共は補償(補助)するのに、民間はしないのか。実際、不発弾があるというのはわかります。わかるものをなんで1日も早く処理をしないかというのが疑問」

糸満市の建設業協会会長も務める上原さん。現場の本音が聞けると、協会の役員会に招いてくれました。

<「不発弾問題」をどう思いますか?>

「確かに、誰でも探査してはじめて、仕事をやりたいです」「なんで外国の地雷撤去には日本政府はあんなお金をかけるのに、自国の不発弾にお金をかけるのはなんで嫌がるかが…」「(けがをした人の)仲間として、現実的な問題として、補償問題を明確にしていくというところを、確かなものとして要望すべきだろう」

「磁気探査費用」と「補償」を巡っては、現場の人たちも意見は様々。ただ「爆弾のないところで仕事がしたい」という想いは共通です。

また、磁気探査の専門業者は「被害者補償」と「磁気探査費用」をわけて考えるべきだという意見です。

磁気探査事業協同組合・豊田理事長「不発弾対策基金というのは、被害者が出たら使うという目的と理解している。どういう方々でも、磁気探査が容易に利用できて、安全確保ができるという制度まで、ぜひ確立して頂きたい」

様々な立場の人が悩まされている不発弾。苦悩がなくなる日は果たして来るのでしょうか。

取材した久田記者です。あの爆発事故から50日近く経ちますが、被害の復旧はどのくらい進んでいるのですか。

久田記者「まだ施設に関しては工事業者が決まったばかりで、今でも被害を受けた施設ではお年寄りが難儀を強いられていました。原状回復できるのは6月以降ということです。被害者への具体的な補償も進んでいません」

なぜ対応が遅れたんですか?

久田記者「対策がとられなかったわけではなく、手続きが遅れ、まだ工事業者が決まったばかりという段階です。国がとった対策なんですが、10億円規模の不発弾対策基金を作ると決めました。まず基金の財源は、毎年国が沖縄での事業に充てている『特別調整費』という100億円の予算。これは公共事業とそれ以外の事業で2等分されるんですが、この非公共事業費のうち、新規事業費の枠が、年度の途中でも情勢に応じて配分できるということで、残っていた予算で基金設立という対応がされたわけです」

今回の対応で現場の心配は払拭されるんですね?

久田記者「必ずしもそうではありません。糸満市での事故は磁気探査が行われていれば防げた可能性がありますが、今回設立された基金は磁気探査のためのものではありません。磁気探査については、公共工事では国が一部負担、民間工事は全額自己負担、という状況は何も変わっていません。磁気探査が公共工事、民間工事のどの現場でも行わなければ、事故の危険性はなんら軽減したとは言えません。今後は基金とは別に、民間工事も含めた磁気探査導入へ向けた議論も活発化してくると思います」