去年12月に正式決定した2011年の読売ジャイアンツ那覇キャンプ。人気チームの誘致だけに、およそ19億円という高い経済効果が期待されています。県民のためよりよいキャンプにしたい。受け入れ準備に奮闘する那覇市観光課職員の奮闘ぶりを追いました。
先週全日程が終了したプロ野球春季キャンプ。雨が降ることが多い2月ですが今年は好天に恵まれ、選手達の動きや表情もひときわ生き生きしていました。
那覇市民「やっぱり経済効果があると思う」「一緒に追っかけもくるし、メディアの人もくるし、だいぶ期待してます」「子ども達に野球を教えている。育成にもいい。大歓迎です」
そして2年後の2011年、10球団目に読売ジャイアンツが那覇市でキャンプを行なうことが決定。予定地の奥武山野球場の建設も急ピッチで進められています。
那覇市観光課・池村博之さん「宮崎と那覇市で一緒になって、巨人を応援するというスタンスで、宮崎と協力しながら、しっかり受け入れ体制を整えていきたいと思っています」
巨人キャンプの準備を担当する那覇市観光課の池村博之さん。キャンプ中は各チームの視察を行ないました。球場やサブグラウンド、ブルペンなどを見学し、今後どのような設備が必要になってくるのか、情報収集に余念がありません。
この日訪れたのは、名護市の北海道日本ハムファイターズ。31年前、県内で初めてプロ野球チームのキャンプ受け入れをおこなった場所です。球団関係者から貴重な意見を聞くことができました。
日ハム関係者「球場の裏の部屋は、多ければ多いほど球団としては助かると思う」
球団本部室や来賓室、記者室、選手の家族が来た時は家族室も必要です。これらの情報は奥武山野球場の建築担当などと共有し、今後の運営に生かしていきます。
那覇市建築工事課・平良正樹さん「可動式の間仕切りで対応していくことにしています。間仕切りをすることで、1塁側と3塁側で3つずつ、計6つの会議室を準備しています」
また、奥武山野球場にはこれまでの球場になかった様々な工夫が取り入れられています。
まず、メインスタンドの大きな屋根。ネット裏から内野席までのおよそ9000人の観客を沖縄の強い日差しや雨から守ります。
そしてグラウンドに近いスタンドは、選手をより身近に感じることができるよう、観客の目線は選手とほぼ同じ高さになる予定です。
県内外から多くの観客が詰め掛ける巨人キャンプ。名護市でおよそ30年間、日ハムキャンプをささえてきた宮城さんはこう指摘します。
名護市協力会・宮城一さん「一番苦労するのは、お客さんが来るから駐車場の問題」
3万人の収容をほこる奥武山野球場。しかし、その駐車場スペースは129台しかありません。地下駐車場の建設も検討されましたが、こんな理由で断念せざるをえませんでした。
平良さん「1945年の終戦後、アメリカ軍に埋め立てられた場所で、非常に地盤が悪い。駐車場を地下につくるとなるとコストがかかる」
那覇マラソンなどで駐車場に利用される那覇軍港を使う手はありますが、2週間から1ヶ月の長期間というケースは初めて。アメリカ軍の了解を得るため、今後の調整が鍵となります。
当初、エコ球場として建設をスタートした奥武山野球場。バスやモノレールなど公共の交通機関の利用をよびかける予定ですが、どれほど周知徹底できるのかは予測ができない状況です。
池村さん「物理的に駐車場を増やすということが無理なので、それは今後(周知の仕方などを)検討しなくてはいけないと思います」
2年後にむけて解決しなければならない問題が山積みです。
日ハムキャンプ視察後、池村さんはファンの集いに参加しました。
名護観光協会「北海道から(ファンの集いについて)問い合わせが12月ごろから殺到する。それが今年も100件を越えた。子ども達も来るのでノンアルコールで」
準備は観光協会だけでなく、大勢の協力会のメンバーがボランティアで行ないます。
ダルビッシュ選手や森本選手も顔をそろえるイベント。多くのファンが選手達とふれあいました。
現在、巨人の宮崎キャンプでこのようなイベントは行なわれていません。しかし、ファンの喜ぶ姿に、池村さんは要望を出すことを決意しました。
池村さん「これだけファンが喜ぶのを見ると、巨人軍のときも子ども達が喜びますし、みんな待ち望んでいると思いますので、ぜひファンにとっても選手にとっても、いい関係のキャンプができるように、これからいろいろ勉強しながら備えていきたいと思います」
那覇市にとって、キャンプの経済効果はもちろんですが、池村さん達は、ファンや市民が喜ぶ顔が見たいという思いに支えられています。これからは市民の協力も不可欠になります。2年後まで奮闘は続きます。