名護市辺野古への新基地建設の促進などが盛り込まれたグアム移転協定に中曽根外務大臣とクリントン国務長官が17日に署名しました。この協定を今結ぶ意味はどこにあるのでしょうか。
グアム移転協定のおもな柱は、名護市辺野古への新基地の建設と本島中南部の基地の返還を一つのパッケージとして推進すること。海兵隊のグアムへの移転費のおよそ6割を日本側が負担すること。そしてアメリカ政府が日本側の資金を基地移設以外の目的で使用することを禁止することの3つ。
中曽根外務大臣は「グアム移転協定の署名は在日米軍再編に対する両国の強固な約束を示すものだ」と語り、クリントン国務長官も「この同意は太平洋地域における米軍近代化の狙いを反映したものだ」と強調しました。
県内の学識者らは「協定の最大の狙いは、日本で政権交代が起きてもアメリカ軍の再編を確実に進めることにある」と見ています。
琉球大学(国際政治)の我部政明教授は「日本に金を出させるような協定を結んでおけば、日本だけでもグアムへの基地建設が進んでいく」と分析。
一方、宜野湾市の伊波洋一市長は「私は政権交代があって民主党などの野党政権が実現すれば、こうした協定には拘らず、たとえ現在、日米両国が協定を結んだとしても(政策が)変えられるべきだと思う」と語りました。
この協定が今後国会で正式に承認されると、国際的な条約として国内法より優先されるという見方もあり、現在、辺野古で行われている国内の環境法に基づいた調査が有名無実化する可能性が指摘されています。その意味で、こう着状態が続いている辺野古への基地建設に対する日米の焦りの表れともとれます。
仲井真知事は「今回の協定は日米の合意内容の再確認であり、県や地元が求めている沖合移動には影響しないと考えている」とコメントを発表。今後の行方を見守る姿勢を貫いています。