一流の観光地に出かけて結婚式をあげる。リゾートウェディングのニーズが高まっていて、沖縄観光業界にとってもその重要性は増すばかりです。そんな中、観光産業に携わる人材の育成にとりくむ浦添商業高校の生徒たちが、本物の結婚式と披露宴のプロデュースに挑戦しました。
参列者の温かい眼差しの中、始まった結婚式。企画運営をしたのは、浦添商業高校国際観光科の生徒たちです。
すべてを高校生がプロデュースするというのは、県内では初の試み。この日を迎えるまで生徒たち、様々な経験をしてきました。
国際観光科を設ける浦添商業高校は、理論だけでなく実践教育をとおして観光産業で必要な接遇やマナーの習得に力を入れています。
浦添商業では今年、不況の影響でホテル関連の求人が減り、去年10人の採用があったものが、今年は2人と厳しい現実にも直面しているのです。
浦添商業進路指導・近藤貴雄先生「最初の華やかさだけじゃなく、厳しさも感じてわかって社会に入るのとではぜんぜん違う。早いうちに、社会に出る前にやっていくとだいぶ違うと思います」
今回、式を挙げるのは村山徹さんと和美さん夫妻。和美さんの妹が浦商の生徒ということで、この機会を得ることになりました。
新婦・和美さん「逆に自分たちがちゃんとできるかというのが不安」
新郎・徹さん「どっちも失敗しないように、一生の思い出になるように出来ればいい。一緒にがんばりたいです」
去年12月、司会や音響照明、ケーキ作りまで全てを手がける生徒たち。イメージをつかむため、何度も模擬披露宴を開催。
BGMのタイミングがつかめなかったり、接客でも恥ずかしそうにサービスを行う生徒たち。この日は、リゾートウェディング産業に携わる人たちの厳しい目が光る中で行われました。
リザンシーパークホテル谷茶ベイ・瑞慶山進さん「サービスに関しては、積極的に元気に明るく接して欲しかった」
リーダー・宮城美利花さん「全体の流れがあってない。音響とかスポットとかも練習したけどぜんぜん足りなくてぐだぐだになったりとか。本番では、お客さんが泣くぐらい感動的なものを作りたいです」
そして、失敗の許されない本物の結婚式当日、本番直前です。
BGM担当スタッフ「この辺の操作とか触ったりして覚えてみて」
フロアー担当スタッフ「全部ばらばらになっています。同じナイフがあったり同じフォークあったりしていますので、必ずあわせてください。もう1回やり直し」
ホテルスタッフのアドバイスを受けながら会場が完成。
スタッフ「おめでとうございますって気持ちが大事だから」
司会・砂川紀子さん「ただいまより新郎新婦のご入場です。皆さま拍手でお迎えください」
司会「あちらにあるカクテルカウンターをご覧ください。これから新郎新婦さんのためだけにカクテルをつくります」
そして、模擬披露宴でなかなかうまくいかなかった音響では、タイミングよくBGMを流すことが出来ました。
生徒たちがプロデュースした披露宴は、和やかな雰囲気のまま進んでいきました。
「このお二人の感謝の気持ちを花束にこめまして、新郎新婦からそれぞれ花束贈呈です」
新婦の母「こんな幸せな結婚式が出来るとは思わなかったので本当にうれしくて感激です」
リザンシーパークホテル谷茶ベイ・瑞慶山進さん「教室内ではたどたどしいシーンとかかなり見受けられたのですが、きょうはしっかり取り組んでいる姿勢がうかがえて、頼もしく思いました」
新婦・和美さん「良かった。最初、やろうと思ってなかったけどやってよかった」
新郎・徹さん「生徒さんにもありがとうという気持ちでいっぱいです」
リーダー・宮城美利花さん「新郎新婦さんもご家族の方もとても喜んでくれていたし、感動していただけたのでとても良かったです」
山城雄一さん「将来接客の仕事をしたいと思っているので、そういう面で生かすことが出来たらいいと思います」
司会・砂川紀子さん「将来、ホテル関係には就職しないが、ここで学んだことを生かせるようにがんばっていきたいです」
披露宴が終わると新郎新婦の未来、そして生徒たちの将来への橋が架かっていました。
感動や喜びがあふれる空間を演出するのは大変な仕事ですが、うれしそうなお客さんの顔をじかに見られる充実感を実感できたようですね。表情もだんだん頼もしくなっていました。
今後は式場でのウェディングに留まらず、市役所などを舞台にした「シビルウェディング」という新しい分野にも挑戦したいということです。