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雇用への不安が長期化する中、各自治体では臨時職員の雇用といった緊急雇用対策に乗り出しています。シリーズ「雇用危機」3回目のきょうは、行政の対応とこれからの雇用情勢の見通しについてお伝えします。

『あなたを那覇市の臨時職員に採用します』

先週、那覇市役所で行われた臨時職員の任用通知書交付式。深刻化する雇用問題を受け、那覇市はいち早く臨時職員の緊急雇用策を打ち出しました。採用枠は110人。これに対し158人の応募がありました。

那覇市経済観光部・大嶺英明部長「定員の50%上回って応募があるということは、今の市民の皆様の雇用状況の厳しさを反映してのではないかと思います」

期間は3月末までのおよそ2か月間。採用された人のうち40人余りが、今回の経済危機のあおりを受け本土で職を失った出稼ぎ労働者です。

30代の臨時職員「トヨタ自動車の工場でラインの方入ってまして」

50代の臨時職員「(Q:仕事を辞められたのはだいたいいつ頃?)12月の11日です。これ(臨時職員の仕事)がなかったら路頭に迷っていた状態だったので、すごく助かっています」

嘉数守さん(36歳・仮名)もその一人です。

嘉数守さん「愛知県で自動車関連の部品の工場で働いていた。(解雇は)去年の10月です」

県内ではこれまでに20の市町村が具体的な臨時職員の緊急雇用に乗り出していて、ついに先週、県も採用の方針を固めました。

いずれも、2月と3月の2ヶ月間と短期ですが、県内の雇用枠は合わせて最大633人規模と、過去にない雇用対策となっています。

採用から一週間がたった今週水曜日。嘉数さんたちの仕事は、4月から罰金制度がスタートする市の路上喫煙防止条例の調査や市民への周知活動です。この日は、罰金の対象となる国際通り周辺の煙草の吸い殻の現状調査。3人一組。全員が今回の臨時職員です。日給は6260円。

50代の臨時職員「(仕事は)充実してます。見えない部分も見えてきた。実際街は汚いじゃないですか。この2ヶ月間で、次の仕事の足がかりになれば満足です」

嘉数守さん「初めて(吸い殻が)こんなに多いんだと思いました。ここ4,5年は派遣会社に登録して、仕事紹介してもらって(沖縄と本土を)行ったり来たりです。不安ですよ。(就職)状況は厳しいと思います。あの2月3月、これからいっぱい本土から(失業者が)帰ってくると思います。(Q:また出稼ぎに?)いや、思わないです。これを機会に沖縄でちょっと落ち着いて、仕事を探そうと思っています」

大嶺部長「この1週間の臨時職員の表情を見て、仕事に就いたということで、精神的な安心感が生まれたんじゃないか。気持ちに余裕が出たことによって、次のステップを考えてもらいたい」

今回の雇用危機に、一定の効果を果たしていると見られる各自治体の緊急雇用対策。しかし、先行きが全く見えない経済情勢を前に、彼らの不安が消える日はそう近くはないようです。

取材にあたった実近記者です。雇用情勢まだ厳しいですか?

実近記者「最新の雇用情勢がきょう出ました。二つのグラフを見ていただきたいんですが、まずこちらは7年前からの県内の求人数の推移です。求人や求職は季節によって大きく異なりますので、同じ月で比較してほしいのですが、太い赤いラインが今年度です」

だんだんと減っていますね。

実近記者「今回の12月でガクンと、この7年で最低並みに落ち込みました」

仕事が本当になくなったということですね。

実近記者「この現実は深刻に受け止める必要があります。一方、もう一つのグラフなんですが、これは仕事を求める人、求職者の数なんですが、確かに11月よりは比較的増えていますが、過去7年で特に多いわけではないのです」

100年に一度の経済危機と言われますけど、求職者がすごく増えているわけではない。

実近記者「原因としては、景気が悪くなると就職するのが難しくなりますから、自発的な離職が減っている可能性があります」

実近記者「こうした数字から沖縄労働局では、近く、県内の雇用情勢が過去最悪のパニック的な状況に陥る可能性は低いと見ています」

冷静に見る目も必要ということですね。

特に行政は経済対策を誤りますと、深刻な影響を及ぼしますので、今年はこうした雇用情勢の的確な分析、慎重な判断、迅速な対応、こうしたことがカギになるといえます。