太陽と海とジョガーの祭典「NAHAマラソン」は昨日大会史上最多の約2万7000人が出場しました。この中で約1年ぶりに再会した、ある家族の42.195キロのドラマをお伝えします。
出場26,973人!去年より3,500人あまり上回り、過去最高を記録した今年のNAHAマラソン。午後には気温が20℃を超えるなど、ランナーには厳しいレースともなりましたが、沿道のあったかい声援を受けながらゴールを目指しました。
毎年期待の面白ランナーが今年も大勢登場し、大会を盛り上げてくれました。
渡久山朝市さん「息子は東京から、娘は大阪からで、私どもは沖縄。合流して走るのは初めてです」
豊見城市の4人家族、渡久山さん一家。今年、お父さんの朝市さんが60歳の還暦を迎えたのを機に、お父さんと長女、長男の3人が挑みました。
実は、渡久山家がこうして家族全員揃うのはおよそ1年ぶり。長女の友紀さんは大阪で音楽の先生。長男の真也さんは東京で建築の仕事をしていて、二人が沖縄を離れて、もう10年になります。
朝市さん「女房のほうも、出来たら(二人には沖縄に)帰ってきて欲しい。二人でビールを一杯飲みながら、たまにそういう話をします」
長男・真也さん「(東京にいると)めちゃめちゃ寂しくて(家族に)会いたくなるときもある」
遠く離れて暮らす家族ですが、娘と息子は今でも毎年、両親の誕生日と結婚記念日にはプレゼントを贈る気遣いを忘れません。
母・美恵子さん「走るのは3人だから、お母さん入れてあげるわ」
朝市さん「(NAHAマラソン)完走ということで乾杯します!」
スタートして家族の先頭走るのは長男・真也さんですが、実は・・・。
美恵子さん「風邪引いて、きのう風邪薬のんで寝てるんです。あまり眠れないって」
一方、大会初参加の長女・友紀さんも、15キロを過ぎたあたりから、足に痛みを感じ始めます。
美恵子さん「大丈夫?がんばってよー」
お父さんと友紀さんが17キロ付近の具志頭三差路を駆け抜けた後でした・・・。
真也さん「おとうさんは?先行った?」
美恵子さん「なんか、心が痛いね。無事走ってほしい。もうなんか(息子が)調子が悪いって言ってたんで、ちょっと心配です」
先を走っていたはずの真也さんが、体調不良からペースダウン。果たして完走できるのか・・・。
お父さんと友紀さんは無事、21キロの中間地点・平和祈念公園を通過します!
美恵子さん「おとうさん先行ったよ、足大丈夫?」
友紀さん「(制限時間に)間に合うかな?」
スタートから5時間を過ぎて、渡久山家のNAHAマラソンもいよいよ大詰めです。
美恵子さん「こっち、こっち、おとうさん・・・がんばったね。お疲れ様、がんばったね」
そして友紀さんもゲートをくぐります。
朝市さん「がんばれがんばれがんばれ。良くがんばったな」
完走の喜びに包まれる親子ですが、長男・真也さんがまだゴールしていません。
朝市さん「真也はどうかな」
もしかすると、どこかで倒れてはいないか。喜びも、つかの間、不安が一家をよぎります。しかし、そこへ・・・。
友紀さん「よかった、がんばったあ」
美恵子さん「良かった、家族みんなで完走できてよかった」
朝市さん「よしよし、それでいいよ」
友紀さん)「(何も恩返しが出来ないから)これを完走することでちょっとは喜んでもらえるかなって思ったりしながら走ってました」
真也さん「パワーがつきました。あと沖縄はいつ来ても楽しいって気持ちももらって、これでまた向こうに行っても頑張れます」
沖縄と大阪、そして東京で暮らす家族が、1年に1度の再会で挑んだNAHAマラソン。全員完走で、また一つ家族の絆が強くなりました。
渡久山さん一家は、昨日の夕方、親戚一同、自宅に集まって忘年会を兼ねた慰労会を開いたそうです。長女・友紀さんと、長男・真也さんは明日、再び沖縄を離れ、それぞれの生活に戻ります。