任期満了に伴う那覇市長選挙は、自民・公明の推薦を受けた現職の翁長雄志さんが、野党が推す前の県議会議員の平良長政さんに1万5000票あまりの大差をつけて3選を果しました。
投票率は53.06パーセントで、前回の56.39パーセントを3ポイントあまり下回りました。
那覇市民(Q:翁長市長に何を期待?)「街の活性化と観光」「今、非常勤で働いてるが、正社員として雇用されない人も多いので、正規雇用と医療」「景気の事が気になるので」「正社員ではないので、もう少し雇用対策をやって頂ければ」「福祉関係ですね」
ここからは担当の金城記者に聞きます。金城さん、今回の那覇市長選を振り返って、結果をどう見ますか?
金城記者「論戦を挑んで選挙を盛り上げる役割は、挑戦者の平良さん側でした。翁長さんは選挙戦の中で繰り返し2期8年の実績を強調するだけでよかったわけです。それに対して平良さんは、市政を変えよう、チェンジ、という言葉だけが前面に出すぎました。しかし、変えようという割には、翁長市政のどこをどのように変え、那覇市をどのようにしたいのかということが、自らの言葉で市民にアピールすることことが余りにも弱かった。挑戦者であるというからには、新鮮で具体的な政策で、翁長さんに欠けている部分を攻め込んで行く必要がありましたが、インパクトに欠けていました。そして平良さんを担いだ野党4党についても、危機感がけうすでした。危機感がありませんでした」
与野党が逆転した県議選の那覇市区の得票を見ても、平良さんは追い風と見られましたが?
金城記者「6月の県議選で、野党の総得票は与党の得票を上回りました。また、きのうの那覇市議補欠選挙でも野党の総得票が上回っています。ところが平良さんは1万5000票も離されています。つまり県議選、市議補選で野党に投票した人が、市長選では翁長さんを選んだということです。平良さんは『市政は市民とともに決める』と訴えていました。それこそ民主的な政治ですが、選挙結果はそうはならなかった。それは裏を返せば、市民はより強力なリーダーシップを発揮する人を選んだということです。ただこれに関しては、市民の市政に対する不安というものを感じます。それは53%という低い投票率からも透けて見えます」
那覇軍港問題など基地問題は争点になりませんでした。
金城記者「確かに野党の割にはあまり基地問題にはふれませんでした。辺野古に反対決議した県議会の動きなどとも無縁で、革新支持者の熱いエールは受けられませんでした。また県議選最大の争点となった後期高齢者医療問題は、今回争点にすることができませんでした。さらに市民密着の政治を行う市長選挙で、国政を変えようといっても説得力に欠けたという側面はありました」
金城記者「去年4月の参議院補選以来、イメージ選挙が進み、市長選でも「チェンジ」、「ノーリターン」でした。しかし、選挙は有権者を引き付けるインパクトのある政策で、真っ向勝負すべきではないでしょうか」