県内9番目のコミュニティーFMとして今年3月に開局したFMとよみで、今注目を集めている若手DJがいます。
赤嶺幸人さん17歳。ダウン症という障害を抱えていますが、この7月から大好きな民謡を紹介する番組を担当し、ラジオパーソナリティとして活躍しています。
今年3月開局したFMとよみ。県内のタレントやミュージシャンの出演はもちろんですが、地域の人が主役になれる放送局というのがコミュニティー放送局の一番の魅力です。
幸人さん「はいさい、ぐすーよー、ちゅううがなびら。赤嶺幸人やいびーん。今日も豊見城の皆さんと頑張っていきましょうね」
赤嶺幸人さんもその一人。この7月から毎週木曜日の正午に1時間の民謡番組を担当しています。
ダウン症の障害を抱える幸人さん。しゃべりの仕事は難しいのではという不安の声もありましたが、それを押し切って彼を推薦したのが、同局のアナウンサー・平田さんでした。
FMとよみ・平田千春アナウンサー「いろんなお祝いの場で、三線とか太鼓とかを披露してくれたり。性格もこんなに明るいので、彼をとよみの番組でお願い出来るんじゃないかなと思いまして」
幸人さんの自宅の部屋には、幼い頃から集めた民謡のCDが沢山あります。
幸人さん「あの民謡が好き。若い人たちはギターとかバンドとかありますでしょ。あれは自分は好きでないんです」
部屋にいる時は殆ど民謡を聞いているという幸人さん。
『音楽聴いていると勉強する気分は乗ってくる?どう?』
幸人さん「のらないけど、耳はやっぱり民謡聞きたいって」
『勉強はしたいけど、音楽はずっと聴いていたいんだ〜』
幼い頃から、沖縄民謡に強く惹かれていた幸人さん。それもひとつの才能だと見守ってきたのが両親です。一昨年からは父親と民謡研究所にも通い、三線や太鼓の腕をあげています。そんな中、飛び込んできたのがラジオパーソナリティーの話でした。
母・春枝さん「ただ、幸人君の勇気です。大丈夫、僕やってみたいという勇気ですね。その勇気に押されました」
幸人さんは、マンゴー栽培を行う両親と共に、毎朝9時には畑へ向かいます。幸人さんの仕事はビニールハウスの隣にある倉庫の掃除です。
ここでも好きな民謡は欠かせません。父親・善春さんは音響関係の仕事を本職としている為、音楽を楽しむ設備が十分に備わっているです。
この日はラジオの生放送の日。幸人さん、掃除も早々に切り上げ始めたのが・・・。
幸人さん「ちゅうやお盆なとーやびん。今日は要するにお盆の中日なとーやびん」
ラジオの本番を想定した練習です。番組で流す曲の選曲も幸人さんが行います。心の準備も整え、いざFMとよみへ・・・。
幸人さん「赤嶺幸人やいびーん。8月14日、旧暦では7月14日になとーやびん。今日はとぅばらーまをかけます」
提供読みは母・春枝さん、ミキサーは父・善春さんが担当します。
幸人さん「あい、来たリクエストが・・・」
番組がスタートして2ヶ月、反響も出てきました。
幸人さん「次もリクエストが来ています。八重瀬町のごさくさん。いつも頑張っていますね〜、幸人
君。楽しみにしていますよ。はい、ありがとうございます」
FMとよみ・安慶名雅明社長「頑張ってっていう声が多い。正直、放送的にはまだまだなところもありますけれども、みんなで一緒に作ろうとしているというのは、非常に感動する。同じ障害を持っている子どもたちにとっても勇気を与えるんじゃないかなという意味で、応援したいという気持ちがあります」
幸人さん「 はい、『芋の時代』おもしろいですね〜。僕も『芋の時代』は大好きで、芋を食べようかなと思ってます。はい」
大好きな民謡を紹介したい。その素直で飾らない想いが、優しいしゃべりとなってリスナーの心にすんなりと届けられているようです。
幸人さん「緊張しましたけど、楽しく、嬉しく、また頑張っていきます」
今は、両親にも協力してもらっているんですが、機材の操作も覚えてきているので、いずれは独り立ちしたいということでした。
今月は障害者の雇用支援月間。沖縄県内は障害者の雇用率が低い現状がある中で、障害をもっている方が積極的に社会と関わっていける場を提供していくことも大切ですし、また、幸人さんのように臆せずチャレンジしていく方が増えるといいですね。