2007年8月に那覇空港で中華航空機が炎上した事故で、事故調査委員会は29日、調査の経過報告を発表。主翼内部のボルトを支える部品が取り付けられていなかったことを明らかにしました。整備ミスの可能性が強まっています。
中華航空機事故では、右の主翼内部の部品を止めるボルトが脱落し、そのボルトが燃料タンクに穴を開け、漏れた燃料に引火して炎上したことがわかっています。
事故調査委員会が29日に発表した調査の経過報告では、ボルトとナットの間にあるはずの6つの部品のうち、3つが付いていなかったことが判明。このうち、ボルトとナットをより強く締めるためのワッシャーという部品が、ボルトが落ちていた場所とは別の所に落ちていました。
機体は事故の45日前に台湾で分解して整備を行っていて、このときにワッシャーを付け忘れた可能性もあるということです。
また報告書では、設計上、ワッシャーを付け忘れると、ナットで締め付けた状態でもボルトが脱落してしまう可能性を指摘していて、整備ミスとあわせて機体メーカーによるこの部品の設計の不具合が重なって起きた事故という見方が強まっています。
取材した久田記者です。
事故原因となったボルトの脱落ですが、原因ははっきり断定されていないんでしょうか。
久田記者「まず脱落した仕組みですが、これがボルトで締めたいメイントラックという部品の穴だと仮定すると、こうしてワッシャーを挟んでナットを締めれば、外れることはない。しかし、ワッシャーが無いままナットを締めたため、ナット側からボルトごと外れたというわけです。報告書では、この脱落の原因は整備ミスにあるかもしれないが、設計にも問題があるのでは、と述べる程度で、中華航空に対しても、メーカーのボーイング社に対しても、まだ何の提言もしていません。これについて航空機の専門家はこう指摘しています」
航空評論家・小河正義さん「もっとズバッと『この段階でこういうことが可能性として考えられる』と、したがって『再発防止のためにやるべきことはこうだ』というような、そういう思い切った提言がほしい」
確かに、事故から1年もたって、事故の責任の所在もはっきりしない。対応策の提言もないようでは、利用客として不安ですよね。
久田記者「幸い、ボーイング社は自主的にボルトの設計変更を行い、順次取替えを行うとしています」
このほか消火開始までの時間は「3分」という国際基準を大幅に超え、4分30秒かかっていたことがわかりました。
また、QABの取材で、空港の空港の消防指令は、まず那覇消防に通報すべきところを、1番に警察に通報していました。その後も空港事務所の各部署におよそ10分にわたって連絡していたため、消防への通報ができなかったことがわかりました。
現在は、様々な訓練で通報ミスや消火活動のスピードアップが図られていますが、今後もこうした努力を続けてほしいと思います。