※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

稲作に挑戦する那覇市の真嘉比小学校の子どもたち。農業体験を通して自然に親しみ食べ物の大切さも学んでもらいたい。エコを全身で体験した子どもたち、ついに稲を刈り取り、この夏、地域の豊年祭にも参加しました。

教室で子どもたちが作っているのは、かかし。

児童「そしたら変だよ。だって、うしろ髪の毛なのに」

児童「洗濯もの干してるみたい。ハハハ」「キャー」

学校で初めての米作りがスタートしたのは今年4月。水を浄化するために、田んぼにメダカを入れたり、自然に入ってきた生物を観察。5年生の教室は、この数カ月で、子どもたちが田んぼから学んだ様々な発表であふれています。

しかし、田んぼに来るのは歓迎すべき生き物だけではありません。先月初めから、アミハラの姿が見られるようになりました。実り始めた稲を食べに来たのです。稲を守るにはどうすればいいか。かかし作りは、子どもたちから提案しました。試行錯誤はおよそ1時間。ようやく思い思いのかかしが、田んぼの周りに立ちました。

児童「(Q:効果あるかな?)たぶんあると思います」

小川喜美江校長「いろんなことやりました。きょうはそれを思い出しながら稲刈りをしてください」

ついに稲刈りの日です。これまで見守ってくれた地域の人も駆けつけています。真嘉比地区の高屋自治会長は、米どころ・石垣島の出身です。

高屋自治会長「(Q:田んぼにくるのは?)もうほとんど毎日。初めてのお米ですけど、本当に思ったより(出来は)大変良い」

片手で稲を掴み、ちょっと慣れない手つきでカマを握る子どもたち。刈り取った稲は、束にしてひもで結んでいきます。こうして田んぼの稲は少しずつ刈り取られていきました。

児童「ちょっとうれしかった」

児童「途中で害虫来たり、スズメが来たりして、食べられたりとか大変だったけど、でも稲刈りがちゃんとできて、うれしい」

児童「最初は田んぼとかやったことなかったし、できるってあんまり自信なかったけど、やっと食べられたり、綱とかになるから、良かった」

稲は昔ながらの方法で脱穀されました。今回作られたのはもち米。来年のお正月に餅つきをして、いただくことになっています。

5年1組・上里実工さん「この貴重な通して、私たちはとても大切なことをたくさん学ぶことができました。食べ物や自然の大切さ、そして働くことの大切さです」

脱穀が終わったわらは、地域の豊年祭の綱引きに使ってもらおうと、子どもたちから高屋さんにおくられました。脱穀作業が終わった後には、いつまでも散らばったお米を、一粒一粒拾う子どもの姿も見られました。

『カーン、カーン』

この日は、真嘉比地区の豊年祭。祭りのメーンイベントは大綱引き。朝早くから、地域の人総出で、綱作りが行われます。地域の祭りで、わらから綱を編み上げる作業は県内では珍しくなりました。かつては、ここ真嘉比にも稲作農家がありましたが、今はもうありません。わらは、毎年、本島北部から譲り受けています。

しかし、今年は真新しいわらが加わりました。真嘉比小学校のわらです。子どもたちも、綱作りに加わりま す。

児童「結ぶ時の力(が強く)、手がとても痛かった」

児童「強くひっぱらないと、綱引き中にほどけちゃいそうな気がしたから強く巻いた」

4ヶ月前の小さな苗が、いま、太く、長い綱に変わっていきます。

夕方、大きな二本の綱が、徐々にその姿を現してきました。真嘉比小のわらは、綱の最後に編みこまれました。

高屋自治会長「(真嘉比小のわらを)私たちの綱に入れたことは大変良かった。本当に感動いたしました」

100年以上にわたって続いている真嘉比の豊年祭。今は、地域の交流の場として、かかせない催しとなっています。次は、いよいよ綱引きです。

二つの綱が引き合わされます。綱引きが始まりました。真嘉比小の綱を握るのは、もちろん、あの子どもたち。地域の祭りで地域の子どもたちが、地域の綱を力いっぱい引きました。

農業体験は積極的に自然に親しみ、自然を生活に取り入れていくという、まさに実りの多いエコ活動の一環です。子どもたちは、こうしたエコが、本当に地域の文化や人と深いつながりがあるんだということを、この夏、しっかりと学んだようです。