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県立図書館の分館が廃止されようとしています。特に分館のサービスを受ける竹富、与那国の人たちへの影響はどうなるのでしょうか。

仲村守和県教育長「石垣市では市立図書館が設置されたこと、また八重山分館は築34年と施設が老朽化し、その維持運営が大変厳しい状況であることなどから総合的に判断した」

県立図書館八重山分館は1904年に「八重山通俗図書館」として開設され、その後、琉球政府立、沖縄県立へと移り、八重山三市町の人たちの図書館として大きな役割を担ってきました。

閉館のニュースは八重山の人たちに大きな衝撃を与えました。すぐに閉館に反対する集会が開かれ、それぞれが分館の役割や重要性を強調、存続を強く訴えました。存続を求める会は、県教育庁や県議会議長に要請を行いました。

県立図書館八重山分館の存続を求める会・大田静男世話人「いきなり廃止と、しかも聞く耳持たぬと。初めに一方的にもう結論ありきと、廃止のですね。やっぱり教育に携わる者として、教育委員会として、そういうものはやるべきものではないと」

分館廃止の理由に挙げられた石垣市立図書館。館長の仲嶺克己さんは、県が財政が厳しいというのであれば、市町村はさらに厳しい、石垣市が県の肩代わりはできないと話します。

石垣市立図書・仲嶺克己館長「竹富町、与那国町というふうにサービスの範囲を広げることは不可能」

この問題は県議会6月定例会の一般質問や文教厚生委員会でも取り上げられました。

仲村県教育長は、9月の県教育委員会会議に分館廃止にかかる規則改正議案提出はしないと明言しましたが、廃止の方向性は崩していません。

竹富町西表島。図書館がなく、本に接する機会の少ない島の子どもたちのため、19年前に地域のお母さんたちが本を持ち寄って作ったのがやまねこ文庫です。

やまねこ文庫・竹盛由紀子代表「子どもの創造をかきたてる絵なのか、そうじゃないのか、文にしてもね。そういうのがあるんで、本当に手にとって本を選べたらいいなか」

竹盛さんは言います。那覇の県立図書館の本館の隣には那覇市立図書館がある。都市部に多くの図書館があっても、離島の図書館は真っ先に切り捨てる。それは離島軽視にほかならないと。

竹盛由紀子さん「密接なつながり。県立図書館本館の方がそれが出来るかといったら、多分無理ですよね。県立図書館八重山分館が私たちの図書館なんだっていう意識でずっといますから、それがなくなったらそれこそショックですね」

竹富町教育委員会で3つの島の学校図書館を担当している南風原聡子さん。この日は黒島で図書館司書の業務。休み時間にやってくる子どもたちに本の楽しみを伝えます。

南風原聡子さん「学校図書館も充実してきていますし、次は地域と連携してやっていかなくちゃいけないということで、これからさらに分館を使わなくてはいけない時期がきたのに、今回のこのような(廃止)決定は残念なものだなと」

石垣島で情報誌や出版を手がける南山舎代表の上江洲儀正さん。離島にこそ図書館は必要だと強調します。

南山舎・上江洲儀正代表「本というのは、一人ひとりにいろんなものを訴える、その一人ひとりがいろんなことを考える。そういう図書館をなくすというのは本当に言語道断だと」

西表島・大原中学校。昼食を終えた生徒たちが図書室で思い思いに本を手にし、昼休み時間を過ごします。生徒たちの楽しみは分館の巡回移動図書館です。閉鎖問題は両親などから知らされた生徒も多く、落胆の声が聞かれました。

大原中学校生徒「読む本が少なくなっちゃう」「離島なので石垣まで本屋とかに足を運ばなくちゃいけない。移動図書館はすごくいいと思うので、なくなったらよくないと思います」「読みたい本がなくなるからさびしい。知識が豊富になったりとか、文章力が高められたりすると思うので、残ってほしい」

金城記者「県立図書館八重山分館がなくなると、移動図書館で本が読めなくなる。本が読めなくなると勉強にも影響が出てくる。離島の子どもたちのこのような思いを、県教育長はどう受け止めるのでしょうか」

去年行われた全国学力テストで沖縄は全国最下位でした。つまり読む力、考える力が備わっていないことが証明されたわけです。学力向上といいながら、離島の子どもたちの情操教育の機会を切り捨てていく県の教育行政とはいったいなんでしょうか。