普天間基地の周辺に住む住民およそ400人が、身体的・精神的被害を訴え、夜間早朝の飛行差止めや損害賠償を求めていた裁判の判決があす言い渡されます。裁判の争点をまとめました。中村記者です。
普天間基地。連日、アメリカ軍のヘリコプターや軍用機の爆音が響きます。
2002年10月、普天間基地周辺の住民は「静かな暮らし」を取り戻そうと、国や普天間基地司令官を相手に提訴しました。全国で初めて、基地司令官個人の責任やヘリの爆音被害を訴え、その違法性が認められるかが注目された裁判。
しかし、基地司令官を被告にした訴えの審理は分離され、司令官は一度も出廷しないまま、「公務執行中のアメリカ軍人は、不法行為による損害賠償請求を負わない」として訴えは棄却されました。
そして争点は、国と争っている夜間早朝の飛行差止め、身体的・精神的被害による損害賠償などに絞られました。
2003年、沖縄を訪れた、当時のラムズフェルド国防長官にその危険性を指摘された普天間基地。その次の年、その危険が現実となりました。
普天間基地所属の輸送ヘリが沖国大の敷地内に墜落。その後、ヘリの飛行する音を聞くだけで墜落の恐怖に常に付きまとわされていると原告は訴えました。
津波古良一さん「事故が起きた後は(ヘリを)凝視しています。これも落ちないかなと思って」
そして、この裁判で新たに訴えたのは「ヘリ」特有の低周波騒音被害の認定について。
低周波は人間の耳に聞こえいにくいとても低い音域で、睡眠妨害や頭痛などの原因とされていて、原告側は測定したデータを示して被害を訴えました。
しかし、これまでの航空機騒音訴訟で賠償額決定の基準となる「うるささ指数」にはこの低周波騒音が含まれていません。
津波古さん「ジェット機は『ゴー』と地響きを立てて、一瞬で消えていくんです。ヘリは違うんです。滞空時間長く、低周波というんですか、あの音というのは、本当にイライラするんです」
同じように爆音被害を訴えた「新・嘉手納爆音訴訟」で認められたのはうるささ指数「85」以上。うるささ指数「75」と「80」の区域しかもたない普天間基地で、ヘリの騒音被害がどう認められるか。また、市街地のまん中の基地。そこに住まざるおえない住民に対して「危険への接近」と主張する国。住民への被害がどう認められるか注目されます。
津波古さん「お国の方々にこの痛みを分かっていただければいいですけど」
原告の思いがどこまで認められるのか。判決は、あす午前11時に言い渡されます。