きょうは稲作体験を通して環境教育を実施している那覇市の真嘉比小学校の取り組みをお伝えします。実近記者です。
田植えを行ったのは5年生42人。ほとんどの子どもが、田んぼに入るのはこれが初めてです。環境や食育、地域との関わりなど、様々なことを学んでもらおうと今年初めて実施されたこの試み。職員や地域の人の協力で、この小さな田んぼを校内に作ったのです。
あれから一ヶ月余り。稲は立派に成長しています。そしてこの日、また5年生が集まりました。子どもたちが手にしているのは「ヒメダカ」。
真嘉比小・渡久地政武教諭「はい、放流してください」
メダカが田んぼに放されました。子どもたちの視線が一斉に田んぼの中に注がれます。
渡久地教諭「前見たときと比べて、オタマジャクシどうですか?」
『カエルになってる』
一ヶ月余りの間に、田んぼではいろいろな変化がありました。トンボはいくつかの種類を見ることができます。また水の中を覗くと、放されたばかりのヒメダカがちょっと緊張気味に辺りをうかがっています。次に現れたのはミズスマシです。
渡久地教諭「黒く渦を巻いた細長い貝がいませんか?これがカワニナです。土とか水を浄化してくれます」
オタマジャクシは、現在3種類が確認されています。メダカ以外は全て、田んぼを作ってから、自然に入ってきたものです。
子ども「(Q:どんな気持ちで見てるの?)どんなふうに成長したかなーって」
子ども「前はなんか細く目が出てたけど、今は太くなって成長していると思う。うれしい、とってもうれしい」
子ども「(Q:何でヒメダカ放したかわかる?)植物プランクトンを食べて、糞をして肥料になるから。「(Q:一ヶ月たって、水の中どうなったと思う?)きれいになった」
子ども「きれいになっている(Q:水の中きれいになってる?)うん。生き物がきれいにしてくれたから」
子どもたちは、田んぼという小さな世界の環境の変化に敏感に気が付いています。
渡久地教諭「何のためにこの生き物がいるんかなっていうことも調べてください。いいですか?」
掃除の時間、拾った落ち葉や刈り取った草をタヒロンと呼ばれる袋に集める子どもたち。学校では長年こうして独自に堆肥を作っています。
真嘉比小・安次嶺敏勝さん「全然、違います。この、腐葉土のほうが土の力があります」
作られた堆肥は、校内のプランターや今回の田んぼに使われています。
こちらは今月中旬に植えられたゴーヤーの鉢。学校で作った堆肥と市販の肥料を比較すると、真嘉比小学校産の堆肥の実力は一目瞭然です。田んぼの隣には、雨水を再利用するタンクも新設しました。
お米作りは、こうしたエコにこだわる真嘉比小の新しい挑戦なのです。
真嘉比小・小川喜美江校長「田んぼの中から広がる子どもたちの気づきや発見が、一つの環境教育にもつながっていきます。何を子どもたちが発見してくれるんだろうっていう、わくわくするような気持ちでいます」
渡久地教諭「自分たちが作り上げていく。工作ではなくて、自分たちの命につながるようなものを作っていくということが大切じゃないかなと。勉強したいっていうのが、広がっていってくれればいいと思います」
最近、学校では下校時、田んぼに立ち寄る子どもたちの姿がよく見られるようになりました。稲刈りは7月中旬の予定です。
かつては、この真嘉比にも水田があったということです。田んぼは、本当に豊かな自然環境が凝縮された一つの世界ですから、そこから学ぶことは多いと思います。