きのうのニュースでもお伝えしたとおり、仲井真知事は審査会をクリアすれば、環境の本調査も進むということを認めています。このままいくと国のペースで移設作業が進む可能性があるわけですが、一方で、県側が名護市の要望を受けて求めている滑走路の沖合い移動や名護市への再編交付金の支給はきのうの協議会でどこまで議論されたんでしょうか?岸本記者です。
仲井真知事「雰囲気的にはお互いの意見交換が率直にやれるようになってきたと。官房長官の発言を踏まえ、(沖合い移動の議論も)動くのではないかと期待もしている」
これは総理官邸で開かれた普天間移設協議会で、町村官房長官が公式の場で初めて『滑走路の沖合い移動』をテーマにする意向を示したことを受け、仲井真知事が歓迎する発言をしたものです。
また沖合いへの移動を求めている島袋市長はその上で、改めて基地建設の協力度合いに応じて支払われる再編交付金の支給を求めました。
島袋名護市長「我々としては協議会にスムーズに協力している。参加しているということであって、是非、早めに措置を講じてもらいたいと申し入れた」
政府関係者からは『政府は名護への交付金支給を前向きに検討し始めた』という情報も流れました。しかし、協議会を主催する町村官房長官はきょう午前の会見でこれをはっきりと否定しました。
町村官房長官「交付金を今どういう風にしようかと、当然関係省庁で議論しているとは思いますが、具体的には私のところに報告は受けていない。したがってどういう検討が行われているのか、私は聞いておりません」
東京で取材にあたった岸本記者です。政府による揺さぶりが続いているようですね。
岸本記者「この滑走路の沖合い移動というのは、最初に名護市が要求したことなんですが、それを議題にするといいながら、一方で交付金は出さないと。つまり、基地建設がはっきりと前に進んでいくまで、交付金のカードを政府は持っておきたいということだと思います」
それでは今後、完全に政府のペースで進んでいくんでしょうか?
岸本記者「いえ、基地建設がいざ海の埋め立ての段階になって、その許認可の権限を持っているのは県知事なんです。仲井真知事もこのカードを県側の切り札と考えているようです」
仲井真知事「我々がお願いし、要求している3年メドの普天間の閉鎖状態であるとか、沖合いへの展開等々について何らかの答えが無いというのは、環境調査はずっと進行しても、結局、その後の飛行場建設にはつながりませんと申し上げている」
お互いが重要なカードを持って、相手の出方を探っているようですが、滑走路の沖合い移動というのは実際に可能性はあるんでしょうか?
岸本記者「まず、アメリカ政府は絶対に計画の変更はないといっています。日本政府は、環境調査にやり直しを行わなくてもいい程度なら、地元に配慮して、修正に応じる可能性はあります。でも、それはあくまで微調整の範囲ですから、それではアメリカ軍機の騒音や墜落の危険性は実はそれほど変わらない。それよりも、一番、根本的な問題はまず、アメリカ優先の姿勢ですとか地元に対してアメとムチを使い分ける政府のやり方自体にあって、こういうやり方が変わらなければ、地元の要求を満たす修正というのはありえないと思います」