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会話をしながら楽しむ食事。食べる、噛む、話すと、私達にとって歯と口は最も身近で大切な器官です。しかし、沖縄の歯の健康は今、危ない状態が続いています。

3歳児の虫歯にかかった率は全国平均を大きく上回り、5年連続で全国ワーストワン。また、12歳児の一人当たりの平均虫歯本数は全国平均の約2倍で、全国最下位。沖縄の子どもたちは虫歯に脅かされています。乳幼児期からの虫歯予防は緊急の課題となっています。

沖縄県歯科医師会・高嶺明彦会長「全てのライフステージ、生まれてから高齢者になるまで、口の中の状態は沖縄県の場合、非常に悪い。それが将来の健康に、非常に危険な状態」

那覇市内の保育園。園児達がお昼休みに決まってするのはブクブクうがい。水でうがいをするのではなく、フッ素を溶かした水で虫歯予防をしています。

フッ素は歯の質を丈夫にし、初期の虫歯を治すことができる働きがあり、虫歯にならないための最も効果的な予防法とされています。

フッ素を使った虫歯予防の取り組みは他府県で進められ、フッ素うがいの先進県・新潟では、12歳児の虫歯経験本数は全国で最も少なくなっています。

沖縄でもフッ素うがいで虫歯ゼロに取り組んでいる地域があります。久米島町では県内で唯一、町の保育園から中学校まで、フッ素のうがいを行っています。

かつて、沖縄で最も虫歯が多かった旧具志川村で、17年前に始まったフッ素うがい。その効果は確実に現れています。

児童「ちょっとヌルヌルした感じがするけど、うがいをしたら、歯がきれいになる」「(Q:今まで1本も虫歯がないの?)な〜い!!」

久米島町の12歳児の虫歯の本数も、ここ9年間ではっきりと減っているのがわかります。また、町の中学生の口の中を覗いてみると、ほとんどが虫歯のないきれいな状態です。

女生徒の声「小3の時から(虫歯が)ありません。歯医者で麻酔をやって、それが怖くて、次から虫歯をつくらないように毎日歯ブラシをしていた」

町立具志川歯科・玉城民雄医師「この町のデンタルIQは高い。子どもたちもいい方向に進んでいる」

虫歯と並んで歯を失う病気が「歯周病」です。歯垢がたまって歯と歯茎のあいだに隙間ができ、悪化すると歯が抜け落ちてしまう怖い病気。しかし、歯周病は歯だけでなく、体内の健康にも大きな影響を及ぼします。

歯周病菌が体内や血液の中に入り込むと、心臓や肺にも異常が現れ、妊婦の場合、胎児にも影響がでます。また、県内でも多い糖尿病と歯周病の相関関係も指摘され、第6の合併症とも言われています。

歯周病は歯と歯茎のブラッシングがきちんとできていないのが原因。歯を磨くだけのブラッシングから歯周病対策を意識した磨き方と定期的に検診を受けることが必要です。

虫歯や歯周病によって自分の歯を失うと、食べることや噛むこと、話すことも不自由となり、社会の中で生きていく力が弱まり、体の衰えにつながります。

80歳で自分の歯を20本以上持つ県内の「8020」達成者は全国の1割と、長寿といわれる沖縄の大人の歯の健康も危うくなっています。

最近では、8020の達成者と自分の歯を持っていない人とでは、医療費の額に大きな差があり、自分の歯を持っている高齢者は病院に行くことが少ないというデータも出ています。

こちらは那覇市の新城勝さん。81歳で25本の自分の歯を持っているのが自慢で、去年表彰を受けました。奥さんのツル子さんは75歳で30本の歯の持ち主です。

新城勝さん「自分は25本の宝石を持っている。入院・通院とか、そういうことはあまり記憶にない」

新城ツル子さん「こんなにすばらしいことはないと思います。(健康が)人生の目標じゃないですか」

歯も健康で、元気に日々を送る二人の笑顔は印象的です。

「おいしく食べて、楽しく話す」いつも当たり前に思いがちですが、身近な歯の健康に対する意識を変えて実践していくことが「健康長寿」の重要なカギと言えそうです。

私達も仕事で忙しく、歯が痛くなったら歯医者に行くという感じで、歯の病気の予防にはなかなか気がかけられなく、子どもたちの歯の健康についても見落としがちです。食べることや話すことといった人間の基本的な動きは口によるものですから、歯の健康を守ることは生きる意欲や生きがいづくりにつながります。小さい頃からの予防がまず大事です。

また、あさって27日には歯と口の健康と体の健康について考える講演会が那覇市で開かれます。