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今年も県内に大きな被害をもたらした「台風」。今年の台風の特徴は、直撃した台風一つ一つの勢力が非常に強かったことでした。

久田記者「普段はしっかりと固定されているはずの道路標識も突風で逆さまになり、あちらではバイクが何台も倒れています」

7月に本島を襲った台風4号は、那覇市で最大瞬間風速56.3メートルを記録。名護市でも50.9メートルを記録し、32人がケガ、農作物の被害は8億円以上にのぼりました。

離島でも大きな被害が出ました。9月に台風11号が直撃した久米島では、観測史上最大の瞬間最大風速62.8メートルを観測。島の全世帯が停電、断水し、農作物におよそ2億3000万円の被害が出ました。

八重山諸島には、20日ほどの間に12号と15号がたてつづけに襲来。いずれも最大瞬間風速が60メートルを超す超大型で、島民の生活をめちゃくちゃに破壊しました。

住人「こっちまでひっかかってるでしょ、水害のゴミが」

人災ではないかと疑われる災害もありました。8月10日から2日間降り続いた集中豪雨の影響で、那覇市の安里川が氾濫。少なくとも2億円余りの被害が出ました。

国際通りの店舗経営者「そろそろかなと思ったら、ちょろちょろっと出だしたので、こりゃ危ないなと思って国際通りに出てきたら、すでに国際通りは半分くらい水に埋まってるという感じでしたね」

11日には、那覇市で400ミリを超える豪雨が降りました。その影響で、安里川の蔡温橋を支える鉄骨に、流されたゴミなどがひっかかり、被害が拡大したと見られていて、詳しい原因の究明が現在も続けられています。

住人「だからもう向こうの工事早く急ピッチで終わってもらいたいわけです」

国際通りの店舗経営者「(原因の)調査結果もすべて出た上で、今どういう対応ができるのか、はっきりと地域の方に説明してほしいと思います」

川が氾濫した日、すっかり水に漬かってしまった飲食店は店を閉めていました。被害にあった周辺住民や事業者らは、今も万一の大雨に備える土嚢を片隅に置いた生活を余儀なくされています。

貴重な自然が危機に直面した年でもありました。やんばるのいたるところで、ヤンバルクイナが車に轢かれる事故が発生。きょうまでに23件の発生は過去最悪です。

今年6月にはクイナが車道に飛び出さないようにする保護フェンスが国頭村で試験的に導入され、成果を挙げています。試行錯誤が続きますが、網の目のような林道は全長150キロ以上。全域に保護フェンスをつけるのも簡単にはいきません。

やんばる野生生物保護センター・七里浩志さん「(クイナの活動が活発な)朝夕は特に気をつけていただくものの、いつの時間帯も安全のために気をつけて運転していただきたい」

人間の都合で作ったやんばる路です。通るときはドライバー一人ひとりの心がけで、クイナやほかの生き物を守るしか今のところ方法はなさそうです。

3月、県内のペットショップで売られたカエルから、高い致死率と強い伝染力で両生類を脅かすカエルツボカビが見つかりました。

1980年以降、世界では実に120種類のカエルが絶滅していて、その多くにカエルツボカビが影響を及ぼしていると言われています。

海洋博公園管理センター魚類課・戸田 実課長「世界中でカエルツボカビの被害が出ているところもあります。沖縄が、日本が、どういう状態なのか、よくわかっていない状態だと思います」

県内では11月、在来種で野生のシリケンイモリが感染していたことが明らかにされました。カエルツボカビ菌には、いくつかのタイプがあることがわかってきていますが、伝染力や病原性の違いなど不明な点も多いのが現状です。沖縄からカエルやイモリが消えてしまうと、生態系も大きく崩れてしまうと、専門家は危機感を募らせています。

「34℃くらい指してます」

海水温の上昇と密接な関係がある白化現象。サンゴから本来の美しい色が抜けてしまう白化現象は、ここ数年でも最悪の規模で発生しました。

石垣島では7月、平均気温が30℃以上と猛暑を記録。月間雨量も平年の26%に過ぎなかったため(42mm)、みるみる海水温が上昇。海水温が30℃以上だった時間が、去年の4倍もありました。

観光客「ボロッ、ボロボロって。くずれるみたいな。がしっとしてない。もう死んでる。(それはちょこちょこっとある?)いやもう全体的に」

時として牙を向き、人間の暮らしを脅かす反面、豊かな恵みをもたらす沖縄の自然。被害を最小限に食い止めつつ、恩恵を次世代に引き継ぐために、何ができるのか。終わりのない問いが凝縮して向けられた1年でした。