占領下の時代、県民の人権を守るために闘った不屈の政治家として知られ、今尚多くの人の心に残る瀬長亀次郎さん。今年は生誕100年にあたり、記念の展示会なども開かれました。その活躍を知らない若い世代が、カメさんをお笑いのネタにしました。
演芸集団「FEC」によって、今から2年前に初めて上演された「お笑い米軍基地」は、基地に関わる様々な問題を「笑い」という手段で表現し、世間の注目を集めた。そんな彼らが、今回新たなネタにチャレンジした。それが・・・。
『瀬長亀次郎先生のお誕生日会をやっていきましょうね〜。誰よ!』
不屈の政治家として知られる瀬長亀次郎。「カメさん」の愛称で親しまれ、占領下の時代、圧制に対する抵抗運動を貫き、沖縄県民の人権と民主主義を守るために闘い続けた。
「カメさん」の人気は今なお続いていて、生誕100年を迎えた今年、記念して開かれた展示会には多くの人が訪れました。
内村千尋さん「本当に明るい人だったし、こういう闘いというのは悲壮感を持ってやったら長続きはしないというのがいつも口癖でね」
瀬長さんの次女・内村千尋さん。実は今回の「お笑い亀次郎」の公演を依頼したのが、内村さんでした。
内村さん「若い人たちに関心を持ってもらうためには、いろんな形で、ただデモをしたり拳を振り上げたりすることだけではなく、いろんな形でやったほうがいいと私も思っていたものですから」
新里真人さん「だめなところがあったらどうぞご指摘して下さい」
本番一週間前、カメさんの実の娘さんが稽古の見学にやってきて、やや緊張気味の芸人達。この舞台の脚本を手掛けた一人、新里真人さんもかなりプレッシャーを感じていたようです。
新里さん「今までにない緊張でしたね、この緊張は。僕らは『お笑い米軍基地』もそうなんですけど、答えではなく何かの入り口になって。それぞれ答えはみんな一人ずつ違うと思うので、そのきっかけになってくれれば一番いいかな」
そして、いよいよ本番。FEC流「お笑い亀次郎」の始まりです。まずは、亀次郎さんの誕生日を祝うコントから・・・。
『せーの、亀さ〜ん、亀さんは沖縄の英雄だよ!』『亀さん亀さん亀さん!ビリーズブートキャンプ!髭しか残らないだろう』
さらに、アメリカの弾圧により投獄されたカメさんの出獄時の様子を描いたコントでは・・・。
『あ〜、亀さんが刑務所から出てきた〜』『亀さんが刑務所から出てきた〜』
観客「若い人があれだけ一生懸命ね、どのようにしてメッセージを皆に送るかということで、彼らなりに亀次郎を上手く表現してるなって(思いました)」「久しぶりに笑いましたね」「すごく楽しかったですね」
山城智二さん「時代を超えてヒーローじゃないですか。ウチナーの英雄と言われている亀次郎さんを題材に、笑い、コントを出来たということ自体が単純に嬉しかったし、楽しかったです」
時代を超えて今、再び注目を浴びるカメさんですが、それだけ今の沖縄に亀次郎さんのような「沖縄を背負って闘う」という政治家が渇望されているのかも知れません。逆の意味で捉えると、情けなくなる話でもありますが、FECでは来年「お笑い米軍基地」の県内ツアーも企画しているそうですから、そこで亀次郎さんと出会えるかもしれません。