天然記念物のジュゴンは、国内で沖縄にしか生息していないんですが今や10頭ほどしかいないという新たな説も出てまさに危機的な情況です。
空から撮ったジュゴンの映像は、何度か紹介しましたがなかなか近くで見る機会もなく、唯一の生息地に住んでいる割に、私たちジュゴンのことって知らないですよね。そこで、ジュゴンの長期飼育に成功している三重県の鳥羽水族館を取材しました。
真珠の養殖や豊富な海産物が自慢の伊勢湾を望む三重県鳥羽市。ここに、昭和30年に誕生したのが鳥羽水族館。当初はいけすからスタートした、民間の水族館の草分け的な存在で、今では年間およそ90万人が訪れる人気スポットです。
中でも一番人気なのが、ジュゴンのカップル、ジュンイチとセレナいる人魚の海のコーナー。
二頭ともフィリピン生まれ。ジュゴンは、美ら海水族館にもいるマナティーと同じ「海牛目」に所属し、近い祖先は象といわれ、穏やかな4つ足の哺乳類が 進化の過程で再び海を棲家に選んだものといわれています。だから、数分おきに空気を吸いに上がってきます。おへそや、おっぱいがあるところを見ても同じ哺乳類であることがよくわかります。繊維質の多い海草を食べるので、ガスもたくさん出ます。
そして、いるかや鯨に比べると皮膚はやわらかく毛が生えていて、人間に近い印象。2年間も赤ちゃんに授乳をし70歳まで生きるというライフサイクルを持つことも人魚伝説のモデルといわれるゆえんかもしれません。
ジュゴンの飼育を担当する若井さんは、毎日、餌の海草を、食べやすいように網に植えつけています。海草は、韓国から空輸されたものです。
若井「これは金属探知機なんですよ。やっぱり釣り針とか、針金とか、そういう異物が時々入っているのでチェックしてます」
朝の食事が待ちきれないセレナ。体重およそ380キロ、毎日体の一割、30キロもの海草を食べます。若井さんが大好きで、いつも寄ってきます。
若井「セレナはすごく人間っぽいと思いますよ。自分に甘えてきたり、毎朝水質検査やるんですけど、シューっと寄ってきてパカッと頭出して朝アイサツしますね。水温計で頭コンコンってやるんですけど」
実は、セレナはミルクを飲む赤ちゃんの頃から鳥羽のスタッフに育てられています。オスのジュンイチのお嫁さんを確保しようと、スタッフがフィリピンに滞在していた時、台風で親とはぐれた赤ちゃんじゅごんを発見。次の瞬間、網にかかり、窒息しそうになっているところを、
決死の覚悟で飛び込んだ、今の副館長の浅野さんに助けられたという経緯があります。
浅野「抱いて、こうやってると寝てしまうんですね。こう、哺乳瓶を口にくわえながらね、ほんとに寝るんですよ。目を閉じる?ええ、閉じてこうほんとにうとうと寝てしまって。しばらく抱いてるんですけどね」「ミルクをやった後、プールから上がると、泣きながら探し回るんですよ。ぴよぴよ、うろうろ探し回って。」
ジュゴンは、本当にピヨピヨと鳴くのでしょうか。取材の間、何とか声を拾おうとしますが、なかなか聞こえてきません。
順調に成長し、いまやジュンイチを上回る大きさになったセレナは去年はたちを迎えました。ウミガメの亀吉が親友で、人間にもなついているセレナですが、オスのジュゴンと対面したばかりの頃はやたらと逃げ回っていたそうです。
でも、今は定期的にデートを重ねつつ、赤ちゃんの誕生をみんな楽しみに待っているという情況。もしも水族館で出産に成功すれば、世界初と、期待がかかります。
ところで、私たちが沖縄に帰る日の朝セレナからこんなプレゼントが
「ぴーーるるるる・・」
聞こえましたか?ではもう一度
「ぴーーるるるる・・」
「かわいい!大きな体なのにかわいい声なんですね!」「沖縄に住む仲間への何かメッセージかも!?さて、沖縄のジュゴンとその文化を追ったドキュメンタリーが、あさって放送されます。」
ナレーションを担当したのは 県出身歌手のCoccoさん!今東京で行われたナレーションの収録風景が写っていますが、初ナレーションということで、楽しみですね「人魚の棲む海」あさって夜1時45分からです。