住宅の上空を飛ばないようにするためと政府が説明し続けている辺野古でのV字型滑走路計画について、アメリカ軍は「陸地上空を飛行することはありうるので、正しい情報を地元・沖縄に開示すべきだ」と主張していたことが明らかになりました。
これはアメリカで係争中の「ジュゴン裁判」に提出された資料から明らかになったものです。
2006年5月に日米で最終合意されたV字型滑走路の計画で、ヘリコプターの飛行経路は、もっぱら海上に限定されているように書かれています。しかし、これに先立って4月6日に東京で行われた会議の報告文書に「NUKAGA2」という、日本側の計画案を審議した経緯が書かれていて、アメリカ側は「飛行経路が海の上に示されているが、最大限回避しても陸地上空を飛行することはありうる」と明言しています。
そして、日本の防衛庁は陸地の飛行経路は示したくないようだとした上で、「大事なことは地元・沖縄の人々にオープンであることだ。そうでなければ計画は失敗するだろう」とも述べています。
この文書は、カリフォルニア州連邦地裁で係争中のジュゴン裁判の被告・アメリカ側の証拠書類として2007年6月に提出されたものです。
9月に結審したこの裁判で、被告のアメリカ政府側は辺野古の基地建設は日米の共同作業だと、急きょ、認める姿勢に転じていますが、2003年の提訴以来、一貫して「この基地移設計画は地元の都合によるものだ」と主張し、この資料も事業責任者は日本であることの証拠のひとつとして提出されていたものです。
原告の一人の真喜志好一さんは「大事なことを地元に隠して基地を作ろうとする日本政府と、あらかじめ正直に伝えるべきだとするアメリカ軍の立場の違いがよくわかる資料だ」と述べ、現在示されている「方法書」にも陸上の飛行を回避すると明記している欺瞞を追求していきたいと強調しました。