きょうは、サンゴの白化現象が深刻な石垣島からのリポートです。1998年の大白化を上回る規模とも言われる白化の現状を取材しました。久田記者です。
石垣島近海に広がるサンゴ礁。石西礁湖と呼ばれる石垣から西表までの海域には、360種類とも言われるサンゴが生息し、世界でも有数の美しさを誇っています。しかし…。
久田記者「竹富島上空です。海面の近くに群れを作っているサンゴは、大部分が白くなっています。藻がついて黒くなっているものもあります」
近年、この近海の環境は劇的に変化しています。サンゴから色が抜け、真っ白く変色してしまう白化現象がたびたび発生し、中には死んでしまうものも少なくないのです。今、八重山のサンゴは危機的な状況にあります。
久田記者「カラ岳上空です。白いサンゴが波打ち際に並んでいます。この状態が石垣島南方までずっと続いています」
一帯の白化現象は、これでも8月上旬に比べれば回復している状態だといいます。ここ十年で頻発するようになった白化現象。なぜサンゴは白化するのでしょうか。
世界自然保護基金しらほサンゴ村・前川 聡さん「サンゴには、褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンが体内に住んでいる。褐虫藻は、たとえば水温が上がりすぎたり、赤土をかぶったりすると、サンゴの体内から抜け出してしまう。そうなると、サンゴの骨の色、白い色が透けて見えるようになる」
今年は、海水温が30℃以上だった時間が、去年の4倍以上もありました。これではサンゴはひとたまりもありません。中でも白化に弱い種類のサンゴは、50%以上が死んでいるのが先月末の調査で確認されたのです。専門家は原因をこう分析します。
前川 聡さん「今年は梅雨時期から雨の量が少なかったということがまず一点挙げられる。それに、通常であれば7月くらいにやってくる台風が、あまり大きな雨や風をもたらさなかった。そのためにずっと水温が高い状態が続いている」
また、サンゴは高い水温のほか、強い紫外線、赤土被害にも弱いとされています。サンゴはこうしたストレスを受けると、褐虫藻を追い出すとも体内で消化して排出するともいわれていますが、まだ詳しいメカニズムが解明されていないのが実情です。
その間にも、次々にサンゴが死んでいく海を毎日見ているダイビング関係者らは、現状に強い危機感を抱いています。
観光客「ボロッ、ボロボロって、くずれるみたいな。がしっとしてない。もう死んでると(Q:それはちょこちょこっとある?)いやもう全体的に」
ダイビング船・船長「温暖化とか環境の変化というのはすごい大きいと思う。(きれいな海を)次の世代にということを考えると、やはり不安な部分はあります。今現在から、先のことを考えていかないとだめだと思う」
サンゴの白化を防ぐ具体策はまだ見つかっていません。海が私たちにもたらす豊かな恵みは、サンゴの命あってこそ。温暖化をはじめ、環境破壊を防ぐ取り組みは、世界規模で行われなければなりませんが、それを支えるのは私たち一人ひとりなのです。