※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

2007真夏の決戦です。参院選までいよいよあと5日に迫りました。今週は、それぞれの訴えや政策について検証していますが、今日は「基地問題」についてです。

今回の選挙では、普天間の県内移設をめぐって両候補の考え方に大きな違いがあります。しかし、沖縄における選挙の最大の争点とされてきた「基地問題」ですが、最近はそれが薄れつつあります。きょうは「基地問題から見える選挙」について考えます。

西銘候補「やむを得ない。どこも受け入れられないというのであれば、県内移設もやむなしと。なぜならば普天間の危険性をそのまま放置するわけにはいきません」

糸数候補「私は辺野古への新基地建設には反対です。それから東村高江への新たなヘリパッド建設にも反対です」

ここ数年の選挙で、最大の争点となってきた普天間基地の移設問題。この問題に対する両候補のスタンスは大きく違います。仲井真知事と同じく、危険性の除去が最優先で、県内移設も選択肢のひとつとする西銘候補。これに対し糸数候補は県内移設は認めず、海外へ移すことを主張しています。

西銘候補「整理縮小、段階的に整理縮小していきたい。必要のない基地はどうぞ返してくださいという立場です。そういう意味では野党の皆さんとはニュアンスが違う。野党の皆さんは“即時閉鎖”だと訴えている。我々は“必要のないところから現実的に対応していきたい”というやり方です」

糸数候補「私は沖縄ではなくて国外に基地は持っていってほしい。実際にアメリカでも“受け入れたい”地域はいくらでもある。そのあたりを国は責任もって交渉してほしい。いや交渉させるべきだと思ってます」

取材した比嘉記者です。比嘉さん、沖縄の選挙で必ず争点となっていた基地問題ですが、最近きゅうに変わってきましたね。

比嘉記者「この10年間の選挙では必ず普天間の県内移設が争点となってきました。今回も県内移設の是非をめぐり両候補の対立は鮮明なんですが、ここ最近の選挙戦、前面に基地問題を争点として争うことが非常に少なくなってきたようです」

争点としての基地問題がもっとも影を薄くしたのは、参院補選。両者のアピールには「普天間返還」や「辺野古移設」の言葉はあまりなく、かわりに「格差是正」と「子育て」が上がりました。

去年の知事選まで、基地問題は大きな争点で、普天間の県内移設を容認するか否かが問われていました。しかし同時に、知事選で実施された世論調査では「基地よりも経済」という結果も出ていたのです。

沖縄国際大学の照屋教授は、これまで野党がとってきた基地問題を前面に押し出す戦い方は、限界に来ていると分析します。

沖縄国際大学・照屋教授「野党も基地問題だけを訴えていては選挙戦は戦えないと思う。やはり(有権者も)明日の暮らしを考えないといけない。そういう面では経済と基地をリンクさせ、どのように有権者に訴えていくかですよね」

基地問題の解決は県民の悲願であり、基地のない平和な島は誰もがのぞむことです。一方でそれでは基地に頼らない、沖縄の経済振興をどうはかるか具体的なヴィジョンを有権者は求めているのです。

西銘候補は自立をキーワードに、沖縄が人や物、情報や文化の中心となるアジアゲートウェイ構想を国とともに進めたいと話しています。

西銘候補「アジアの中心に沖縄を持っていこうと。人とかモノ、金、情報や文化がすべて沖縄に集結してくる。それが国の政策としてちゃんとできるなら、沖縄の未来はたいへん明るいと」

また糸数さんは、返還予定の嘉手納以南の基地跡地を利用し、観光産業を中心に農業や生産業など、新しい経済のカタチを作り上げたいと訴えています。

糸数候補「返還された跡地から一兆円の経済効果、そこに7万8千人の雇用がでるということが県の資産できっちり出ている。ここできっぱりと“沖縄のことは沖縄が決めていく”という県民自身の覚悟がいま求められているという風に思います」

この10年、基地反対を訴える人が当選してもすぐには解決しない。そんな諦めにも似たムードがあるなか、豊かな暮らしを提案する声のほうが響く、というのはあるでしょうね。

比嘉記者「経済も暮らしも、基地のない平和な社会が大前提です。それは県民誰しもが理解していると思うんですが、経済の面から基地問題を語れない、つまり精神論だけの解決策ではもはやアピールできなくなっているわけです。しかしこの5月には、アメリカ軍再編の協力の度合いに応じて自治体に交付金を支給する米軍再編推進法も成立し、日米両政府はその関係を強化しています。そんな時期だからこそ、しっかりとした経済政策をベースに基地問題解決を訴えることの出来る、そういう代表を我々県民は選ぶ必要があると思います」