かつて私達の先祖は生活に必要な道具は自分で作っていました。かごもそのひとつ。きょうは茅で昔ながらの方法を守って作っている宮古島のかごを紹介します。
渡久山さん「昔、いっぱいあったよ!!畑が暴れるほどあった」
渡久山千代子さん、茅を使った民具作りの名人です。暴れるほどあったというのが、この草「茅(ちがや)」。
えっ?だたの雑草!?ところがこれが渡久山さんの手にかかるとすっかり生まれ変わるんです。
『私、茅(ちがや)でございます。どんな風に変わるかと言えば、ほら、こんな風です。どろん!』
渡久山さんが民具作りを始めたのは10年前。隣のおじさんがかごを作っている様子を見て、その魅力に惹かれたのがきっかけです。
渡久山さん「おじさん習いたいと言ったら、見てやればいいんじゃない?と言って教えてくれなかった。見よう見まねでやったわけよ」
でも、その見よう見まねが今ではすっかり認められ、民具作りで表彰されるほどになりました。
さて、茅の作り方です。まず、70センチほどに成長した茅を晴れた日に1日天日干しをして乾燥させます。そして数本づつ束ね、糸で固定しながら形を作って・・・出来上がり。
『昔はおおよそ決まった形があったのでございますが、渡久山さんは壺やバッグ、小物入れなど、工夫をこらした形にしてくれるので、私も大満足なのでございます』
でも最近は材料の茅を手に入れるのも一苦労。渡久山さんは知り合いの庭先の茅を分けてもらっていますが、少なくなってきただけに、どこに行っても茅が気になるのです。
渡久山さん「私はどこに行っても茅を探すんだよ。どーこに行っても。八重山に行っても、沖縄に行っても」
そうやって愛情込めて作られた茅のかごは評判が良く、民具作りの講習会も開いてきました。せっかく地域に伝わる茅のかご、若い人にこの技術を引き継ぎたいと考えています。
渡久山さん「そのうち後継者が出ればいいと思っている」
『みなさん、だたの草だとあなどるなかれ。こんなに素敵になるのでございますから』
水に強い草をうまく利用したのですね。昔は穀物を入れたり、着物を入れたりして実用的に使っていたのです。アジア風の雑貨が人気の今は、飾り物としてもいいですね。