謝花ニュースデスクが先月、アメリカ各地を回ってきました。
そのうち先月下旬、アメリカ南西部のニューメキシコ州のアルバカーキを訪ねました。そこで、広大な空軍基地、カートランドに入ることができました。このカートランド基地と街の関係を取材しました。
謝花デスク「カートランド空軍基地をはじめ、数多くの基地を抱えるニューメキシコ州の基地事情は、沖縄とは全く異なるものでした」
ニューメキシコ州のほぼ中央部に位置するアルバカーキは、州最大の都市。人口はおよそ50万人と決して多くはないが、近年、人口は増え続けている。
ダウンタウンから車でおよそ30分のところにカートランド空軍基地のゲートはある。
広さはアメリカ空軍基地で6番目に広く、嘉手納基地の3倍だというが、基地の中を車で走るとそれ以上に感じる。街と反対の方角には地平線が果てしなく広がり、どこまでが基地なのか分からないほど広大だ。
謝花デスク「「あ、B52ですね」
『イエス』
このカートランド基地では、4800人余りの兵士のほか、1万8600人余りの民間人を雇用、あるいは業務契約を結んでいて、ニューメキシコ州最大の雇用主と謳われている。
基地の任務で最も特徴的なのが、実戦配備前の航空機や武器、新たなシステムなどのテストを行うアフォテックという施設だ。
あのオスプレイのテストも行っていた。駐機場に案内してもらうと、4機のオスプレイが姿を見せた。沖縄への配備が危惧されている海兵隊のMV22・オスプレイの空軍版CV22だ。
謝花デスク「降りて撮影していいですか」
『ダメです』
撮影は車内からだけだという。沖縄からの訪問者だから警戒しているのだろうか。
このオスプレイがたびたび事故を起こし、多くの死者も出ていることを指摘すると、空軍の大佐はこう答えた。
カートランド空軍基地・バートレット大佐「事故は、我々空軍のアフォテックがオスプレイに関わる以前のものです。我々は去年の秋からオスプレイのテスト飛行を行っていて、運用能力を確認していますので、あのような事故は起きません」
そして広報担当者は、住民たちとのコミュニケーションを大切にしていることを強調する。
そこで、沖縄の嘉手納基地で起きた燃料漏れ事故について尋ねた。アメリカ軍が当初、地元メディアに知らせる必要は無いと判断したことをどう思うかと。
広報担当者「なぜメディアに知らせなかったのか分かりませんが、私なら漏れた燃料を除去して安全を確認したあと、直ちにメディアを現場に招きます。そして何が起きたのか、どう対処したのか、そして今後の防止策を説明します」
カートランドを後にして改めて意識して見ると、軍用機の姿は見えない。結局、滞在中の4日間、基地の外を軍用機が飛ぶ姿は、一度も見なかった。
アルバカーキ・ジャーナル フリードマンさん「訓練や演習ですか?ほとんど目にしないので、気づきません」
地元のメディアは基地についてどう捉え、報道しているのしているのだろうか。
フリードマンさん「基地報道のほとんどは、『雇用』です。この10年間で我々が報道した最も大きな基地問題も『市民が基地の閉鎖を止めることができた』という動きなんです。」
そして騒音被害などについてたずねると、飛行訓練自体、ほとんど目にしないと言う。
フリードマンさん「強いてあげれば、最近、オスプレイが住民地域の上空を飛んでいました。しかし苦情や抗議の声は聞いたことがありません。だから住民は、新たにオスプレイが来ることについても、それで『雇用が増える』という考え方なんですよ。住宅地の上空を飛ぶことに不安を感じるよりもね」
海兵隊だけでなく空軍もオスプレイを配備するということは、嘉手納基地にも配備されるかも知れないんですか。
謝花デスク「空軍はことしからオスプレイを配備するということですが、『嘉手納基地への配備計画はない』と答えていました」
謝花デスク「4日間の滞在で、基地の外で軍用機が飛ぶ姿は1度も見なかったのですが、訓練やテストは、あの基地に隣接する広大な砂漠などで行われているようです。ですから住民にとっては被害を感じることもほとんどありませんので、関心事は雇用とか経済効果だけ、ということになるんですね」
基地問題というと『雇用』としか思い浮かばないわけですね。住民にとっては自分の国の軍事基地ですから、沖縄にあるアメリカ軍基地とは比べられないのは当然ですが、あまりにも状況は違う感じですね。
謝花デスク「全く違います。住民とも話をしたのですが、遠い沖縄、この小さな島に広大なアメリカ軍基地があって、住民に被害を及ぼしていると説明してもピンとこないようでした。そういう空気に直に触れ、沖縄の現状がどれだけ異常で、アメリカ人にとっても極めて非常識なことが沖縄で行われているかということを肌で感じました」