地球の温暖化によるサンゴの白化現象にオノヒトデの異常発生と、沖縄近海のサンゴは依然として危機的な状況を脱していませんが、「ホワイトシンドローム」というあらたな脅威が広がっています。
サンゴの表面が突然壊死を起こして白くなり、それがどんどん広がって1年以内に死滅してしまうこの病気、県内では2003年から慶良間近海で見つかっていましたが、いま深刻な状況になっています。水中カメラがその状況を捉えました。
直径2メートルにおよぶテーブルサンゴの表面にくっきりと現れた白いおび。サンゴの壊死が進んでいるのです。この白い帯がサンゴの表面を徐々に進み、大きなサンゴも1年以内に死滅させてしまう病気、「ホワイトシンドローム」。90年代後半にカリブ海やグレートバリアリーフで確認されたあと、世界中で確認されています。
ホワイトシンドロームというこの病気の特長は、白い帯。原因不明のこの帯は、月に20センチという速度でサンゴの表面を壊死させていきます。帯の進んだ部分はすでにサンゴが死に、黒い藻類に覆われています。
海水温の上昇によるサンゴの病気の一つに白化現象がありますが、白化現象は共生する藻がサンゴから脱落して起こるのに対し、ホワイトシンドロームはサンゴそのものが死んでしまう病気で、原因がまだ解明されていません。
サンゴ礁の生態系に詳しい、慶良間海域保全連合会の入川さんは地元ダイバーらとともに調査を続けていますが、この数年で、感染したサンゴは増加しているといいます。赤土や生活廃水などの影響のない美しい海でおこるこの病気に危機感をつのらせます。
入川さん「簡単に言うと、海水の状態がとてもいい場所。だからどうしてここでこういう病気が発生するのか、これから徹底的に調べていけたらと思っています」
感染症の一種と見られるホワイトシンドロームですが、アメリカとオーストラリアの研究スタッフは、海水温の上昇が病気の増加の原因となることを突き止めています。県内でもここ慶良間海域や、石垣島と西表島の間に広がるサンゴ礁・石西礁湖でも多くの感染が確認されています。
今のところ、この病気の対策は白い病変部分を切除するしかありません。発生のメカニズムを解明し、早急な対策をとらなければ、沖縄のサンゴ群は非常に危険な状態になると入川さんは訴えます。
入川さん「このホワイトシンドロームが見られるテーブルサンゴは、今のペースで病気が広がって、10年すればこの慶良間諸島からなくなってしまうと思います。それくらいの勢いでいま病気が広がっている。島の皆と協力してサンゴを守りたいと思います」
サンゴが死滅した海からは、魚も他の生き物も消えてしまいますし、海の色も形も変わってしまいます。まさに深刻な問題です。原因がわからないから対策を講ずることもできず、歯がゆいのですが、海水温の上昇が原因ということですから、地球温暖化を防ぐため私たちは何が出来るか、まずそこから考えていきたいものです。