仲井真県政の誕生からおよそ半年。沖縄の経済振興を最重要課題に取り組む仲井真知事ですが、この半年間で変化として県民の目に映るものは基地負担の強化ばかりです。
3年以内の普天間の閉鎖を公約にした仲井真知事の発言も、自衛隊まで動員して強行的に基地建設に動く政府を前に、序々に変化しています。
米軍再編法案の成立などでさらに追い詰められた県は今後、どのように政府と向き合おうとしているのか?岸本記者です。
仲井真知事「3年で(普天間基地の)閉鎖状態を実現するよう努めたい。現行のV字型は認めないと申し上げました」
去年12月の就任記者会見で普天間の危険性をなくす方法が政府から示されないと、辺野古での基地建設の議論には入らないと述べた仲井真知事。しかし、直接交渉が始まると仲井真知事のシナリオが序々に狂い始めます。
仲井真知事「3年で閉鎖状態という、本来はこれがすべてクリアしてから入るべきですが、残念ながら同時並行ですべてが進んでいる。これ確かにちょっと変ですが、この際、同時並行でやらざるを得ない」
年明け、防衛庁は省に昇格し、法案の提出権や予算の請求権を獲得。これをアメリカも歓迎します。
アーミテージ元国務副長官「アメリカが26年間求め続けてきた防衛省への昇格がやっと実現して嬉しい。北朝鮮へのミサイルへの対応もより確実にできるようになるだろう」
そして3回目の協議会。政府は2010年の1月頃に新しい基地の埋め立てを始めたいと、具体的なスケジュールを初めて県と名護市へ提示します。
仲井真知事「(Q:知事がずっと言ってきた普天間の危険性の除去について具体的な策は示されたのか?)いや、無かったですね。ただ色々と研究していくんだということを」
2月には基地を背負う市町村に、その協力の度合いに応じて交付金を支給する『米軍再編法案』が衆議院を通過。この圧力を受けてか、仲井真知事の発言も地元を配慮するように微妙に変化していきます。
仲井真知事「名護市の考えを支持するのかといわれたら、私は支持いたします。滑走路を沖合いにずらせば、米軍機の騒音や危険性が減るのは当然のことだと思います」
日米政府が合意した計画に反対という独自の立場から、名護市の考えを重視するというスタンスを取り始めた知事。
その後、世界最強の戦闘機F22の嘉手納基地への暫定配備、これまで墜落事故が相次いでいる輸送機オスプレイを沖縄に配備することがすでに11年前の日米合意で決まっていたこともアメリカの公文書から明らかになりました。
そして参議院補欠選挙で与党候補が勝った直後、国が辺野古沿岸部で始めた環境の事前調査についても仲井真知事は容認の姿勢を示します。
仲井真知事「事業者が自分のリスクでもって、事前調査はやるものでありますから」
そして今月1日ワシントンで開かれた日米の外務・防衛閣僚による会談。
ゲーツ国防長官「日本政府は2006年の米軍再編に関する合意を着実に実施することで合意した」
あとに引けない久間防衛大臣は、辺野古での調査についに自衛隊を投入。反対運動などで基地建設が進まなかった前回と同じ失敗は繰り返さないという決意をアメリカ政府にも示した形です。
仲井真知事「自衛隊が出てきてというのはいかがなものかと思う。特殊任務を持つ自衛隊の船が出動するような状況にあるとは考えられない」
自衛隊の投入には不快感を顕にした仲井真知事ですが、辺野古での基地建設に向けた動きは今、一気に加速しています。
アメリカに背中を押されるように基地建設を急ぐ日本政府に沖縄がどう向き合うのか?地元の声を国に届ける場はますます少なくなっています。