シリーズ「決戦2007」。今日はいよいよ終盤戦に入る宜野湾市長選です。普天間基地の移設問題をはじめ、経済の活性化、福祉や教育の充実にどう取り組むか、双方とも主張を展開。選挙戦は山場を迎えています。まずは現在の戦いぶりをごらんください。
外間候補「県政・国政の太いパイプをつなぎ、一緒に対話を重ね協調しながら、この基地問題に取り組んでいきたいと考えています。よろしくお願いします」
伊波候補「(安倍首相は)『地元の意見を聞いて普天間の問題の解決を測りたい』と言っている。私はぜひ市長として当選して、地元の意見を市長の立場で政府に言っていきたい」
外間さんは街頭応援演説会で与党系支持層の引き締めにかかっています。この日は公明党・太田昭宏代表が参加し、自公とのつながりを強調しました。また、まとまった票の獲得が期待される観光業や建設業など、経済界とのつながりも重視し、商工会や企業系の決起大会なども開き、政権与党や経済界とのパイプをアピールしています。
これに対し伊波さんは、ここへきてビラの配布や練り歩きなどを行い、市民の集まる地域や住宅地などでは街頭演説を行ない、各地でのコミュニケーションを重点的にはかっています。また伊波さんは、市内各地で個人演説会を開催し、平和行政や福祉を充実させることを訴えました。この日は社民党の辻元清美衆院議員も応援に駆けつけ、国の動きを監視する野党が共闘して取り組んでいることを強力にアピールしました。
ここからは取材に当たっている比嘉記者に聞きます。比嘉さん、明日からは3日攻防ですが参院補選の選挙ムードが高まるなか、宜野湾もヒートアップしてますね。
比嘉記者「なんといっても今回の大きな特徴は、両陣営とも参院補選候補者とのセットで相乗効果を計算した戦いを展開する戦術だった。しかしこの戦術、すこし思惑の違いがあるようです」
伊波候補「狩俣さんも全野党共闘で立候補、私も全野党共闘のなかで市長選を再度たたかっています。そういう意味では自公政権に対して、対立しながら戦っているわけです」
外間候補「仲井真知事も安次冨代議士もいらっしゃるので、そのパイプについてはきっちりと繋いでいけるし、太くもしていける。県や国との連携を強化して、宜野湾市の振興と発展に尽くせるものと思っています」
宜野湾市長選、告示のその日はちょうど参院補選のラストサンデー。狩俣さんや島尻さんの応援のため、与野党とも大物が沖縄を相次いで訪れたものの、自民の大物がこの日、宜野湾市に立ち寄ることはありませんでした。
現職との戦いで常に頭を悩ませるのは知名度の問題。自公との太いパイプを強調する外間さんはいま、島尻さんとのダブルの勝利を訴え、アピールの中心をセット戦術をにすえて選挙戦を展開しています。
対して伊波さんは、格差社会問題や憲法改定反対の立場から全野党共闘で自公政権と戦うことを訴えていて、要所要所で狩俣さんとの協調体制をダブル勝利を訴える以外は、独自の選挙戦を展開しているといえます。
比嘉さん、こうしてみると外間さんのほうは特に「セット戦術」で期待していた効果は得られていない感じですね?
比嘉記者「新人の外間さんにとっては知名度をあげることと、推薦を受けている自公とのつながりを市民にどれだけアピールできるかがとても重要なんですが、これまで自民の、いわゆる大物と呼ばれる大臣クラスの宜野湾入りはありません。参院補選とのダブル選挙で、外間さんには大物による強力な応援も期待していたはずですが、現在は『大物クラスが応援している島尻さんとのセット』で、大会や演説会での知名度アップを図っています」
外間さんは、政府にとって大事な問題である基地の県内移設は「国や県と協調する」という態度を表明していますから、もう少し中央が関心を持っていいようにも思いますが。
比嘉記者「そうですね。対する伊波さんですが、これまでの知名度をいかし、野党共闘というカタチでセット戦術も効果的に行っているようです。そのうえで、個人演説会などで市民の支持を訴えるとともに、企業朝礼などにも参加し、保守票の切り崩しも行うということです。国の目的はいま、普天間を抱えている宜野湾の首長選ではなく、拮抗する参議院の議席数を増やすことにどうやら搾られているようです」
宜野湾市長選は参院補選と同じ今度の日曜、22日に投開票がおこなわれます。