今日は東村高江の集落のすぐ近くに移設が決まっているヘリパッドの問題を考えます。
10年前のSACO合意で日米両政府は広大な北部訓練場のおよそ半分を返すことに合意。その条件として7つのヘリパッドを移設するのですが、去年公表された予定地は東村高江の集落を囲むような形でした。しかも最も近いところで住宅からわずか400メートル。こっちにもまだ15箇所もヘリパッドはあるのになぜ、ここなのか。説明も全くないまま、環境アセスの手続きも終盤を迎えていて、高江区民は阻止行動も辞さない構えで反対の声を上げています。
高江区・安次嶺現達さん「何で高江の部落を囲むように作らなくちゃいけないのか」
住民「夜間住宅の真上を飛ぶのは直ちにやめてください」
現在も昼夜を問わずヘリの騒音に悩まされている高江区民は、これ以上増えるのは耐えられないと建設中止を求める一方、なぜ集落の近くなのか説明を求めました。
那覇防衛施設局・枡賀課長「アメリカ軍の運用に関しましては、私たちはまったく関知できません」
集落に最も近いヘリパッドの予定地は安次嶺さんの家からわずか400m。現在も使われていて、さらに奥に2つ作る計画です。
ブロッコリーの森を守る会・安次嶺現達さん「ここは国道です。ヘリが来ると草が舞って国道の方まで行く。危ないですよね」
去年2月、区民で反対決議をしたあと、守る会の会長として反対運動に奔走しています。
安次嶺さん一家はカフェを経営しています。川のせせらぎと手付かずの自然を楽しむため、全国からお客さんがやってきます。四人の子をかかえ、雪音さんはこれ以上騒音が増えたら子供を育てられないと不安を隠せません。
安次嶺雪音さん「うちの子も怖がって、ヘリの音がするとウワーッと駆け寄ってきて泣き叫んだりとか」
安次嶺海月ちゃん「怖い。ヘリがこっちに落ちたら、もう皆使うものだけ持っていって引越しする。おもちゃもみんな捨てていいのは置いていって、持って行くものは持って行く。お着替えも・・靴下も・・・」
100羽の鶏を放し飼いにしている金城正恒さん。金城さんにとって高江は、伊湯岳を見ながらのんびりと有機農業を実践する理想の土地です。それがヘリパッドに囲まれると知り、真っ先に「阻止しよう」と言い出した一人です。
金城正恒さん「なんら説明会もなしにやるんであれば、われわれも阻止行動をやろうじゃないかとなったんですよ。だいたい国というのは国民を守るためにあるはず。それが『小さいから押しつぶせ』では、高江区民は日本人じゃないのか」
住民らの不安には理由があります。復帰後、身近で起きたヘリの墜落事故。ヘリは、落ちて不思議はないものなのです・・・。
集落を囲む北部訓練場で行われるサバイバル訓練では食料調達も訓練に含まれ、貴重な動植物を捕獲している可能性があるばかりか、飢えた兵士が高江集落に降りてくるという物騒なことも。また、辺野古の基地建設がオスプレイの配備を前提としていることを防衛庁幹部が認める中、二つセットのヘリパッドはオスプレイの滑走距離を確保するものという見方が強まっています。
次世代戦闘機オスプレイ。9トンの荷物が積め、北朝鮮まで往復しても余りある飛行距離を誇る一方で、左右のバランスが難しく、ネット上でも公開されているように度々死亡事故を起こしています。辺野古が完成すれば、北部訓練場との間を頻繁に飛び交うのではと、区民の不安は募ります。
ところが去年3月、防衛施設局が高江で行った説明会では、ひたすら貴重な動植物の保護の説明がなされ、どんな訓練が予定され、騒音がどうなるのかという質問には一切回答がありませんでした。
高江区・仲嶺武夫区長「今までは環境問題のみの説明があって、区民の騒音、生活環境の問題はまったく示されていない。我々はノグチゲラ、ヤンバルクイナ以下だと。それなら反対阻止をするしかない」
先週末、区長らはヘリパッド問題をみんなで考えてほしいと那覇の集会に参加しました。高江区では先週の臨時総会で「住民への説明がない限り着工は阻止する」と決議を行ったばかり。多くの県民の協力を求めています。
仲嶺区長「私たち区民にとって、我慢の限界にきています。部落の存続に関わる問題・・力を貸してほしい」
環境アセスの手続きとしては、今月末に予定されている知事意見が出れば、後は秒読み段階。着工は目前に迫っています。
これが沖縄の負担を軽減し、多くの県民に喜んでもらえると国が自負する移設の実態なんですね・・・。でもひとつの地域をここまで犠牲にした移設を県民は望まない。
しかし、見直すにしても、今回のアセスの手続きはここまで進んでいます。この工事は従来の環境アセスの対象事業ではないということで、自主アセスといい、いわゆる方法書を検討書、準備書を図書案、評価書を図書というのですが、29日までに出される知事意見がこれです。そのあと補正期間を経て、公表・閲覧されれば着工は可能です。大幅な見直しを迫る知事意見になれば、状況は変わってくる可能性もありますが、いずれにしても県民が関心を持つことが打開策の第一歩といえそうです。