いまやその名を全国に知られる、美味しい黒豚「アグー」。もともと在来種でしたが、戦後その数は減少。幻の豚といわれていたこの「アグー」を復元したのは県立北部農林高校の生徒たちでした。
その北部農林でまた新たな豚が誕生し、去年「北部農林のブランド豚」として商標登録されました。生徒たちの努力と、それを支えるOBたちを取材しました。
沖縄本島北部、名護市の道の駅。多くの地元特産品のなかでこの日、ひときわ人気を呼んだものは!?
試食客「ジューシーやね、うん」「さっぱりして美味しいです」「においがないですよね、あっさりしてますよね」「脂身がなんとも言えんなあ、美味しかった」「東京Xより美味しいよ!脂身おいしいですよ、甘くて」「こうやって県産のものを大事にされてるのはいいと思いました」
さっぱりしてるのに甘くてジューシーな脂身。沖縄の「アグー」についで開発されたブランド豚、その名は「チャーグー」!
チャーグーは、県立北部農林高校の生徒たちが作り出した新しい豚。いまや全国にその名を知られる沖縄の在来種、アグーとの交配種です。一時は姿を消していたその幻のアグーを復元したのも、この北部農林の生徒たちなのです。
先輩たちが復元したアグーを、さらに美味しく、身近なものとして世に送り出したい。高校生たちは数年かけ、アグーと他の種をかけあわせ、その思いを実現しました。生まれたのはアグーの柔らかい肉質ととろける脂身をもつ、繁殖性の高い豚です。高校生たちはこの豚を「チャーグー」と名付け、学校のブランド豚として商標登録しました。
大城柳子さん「このチャーグーが生まれたのは私たちの代だけではなく、先輩たちの代からそれこそ20何年も前から始まったこと。こうやってブランド豚として確立されたことは心の底から嬉しく思います」
こうして生まれたチャーグー。しかし商品として流通ベースに乗せるためには決まった頭数を出荷する安定供給体制が必要です。これは学校現場では困難。しかし、頼もしい助っ人がいました!
宮城ファームは本島北部でも大手の農場です。北部農林のチャーグーはこの農場で生産されることになり、去年暮れ、生産の元となる純血種のアグーが送られてきました。実は農場の経営者、宮城清継さんと長男・清久さん、次男・司さんはそろって北部農林高のOB。とりわけ清久さんと司さんは、高校時代、アグーの復元に取り組んだ経験もあり、後輩たちの意気込みをしっかりと受け止めています。
宮城司さん「先輩たちがやってきたから、いま私たちもこうやって出来たんだよって言葉もうれしかった。本当に、よく頑張ってきてくれたという思いはあります」
宮城継久さん「北農で自分たちが学生の頃やったのが、うちの農場まで来たってのはすごく嬉しいことで、やっぱ沖縄ブランドでもあるけど“やんばるブランド”として全国に売れる豚を作っていきたいですね」
安定供給をめざし、生産がスタートしたチャーグー。つぎなる課題はチャーグーの商品化と流通の確立、そして市場への展開です。ここにも頼もしい助っ人が!
名護市の道の駅ではチャーグーのカット肉の試食や販売とともに、チャーグーを使ったメニューを通してブランド豚をアピール。観光客など一日3000人近くが訪れる道の駅が、流通・ブランド化に一役買おうということになりました。その道の駅・荻堂社長も実は北部農林のOBなのです。
荻堂社長「母校で先生と子どもたちが一生懸命になって作り上げたもの、それを私たちが担当して世にひろめていく役割を担えるというのは最高です。もうこれ以上の喜びはないですよ」
高校、農場、そして道の駅の3者が、チャーグーの生産のためそれぞれ協力していく。県内ではもちろん初めての取り組みです。地元の農業を元気にしたい。農業に携わる多くの人々の願いを北部農林高校の絆が実現しようとしています。
20年以上かけて生まれた、農林高校ブランド豚・チャーグーが、日本中の食卓に乗る日をめざして。
とろけるような脂の美味しさが特徴のチャーグー。現在まだその数はすくなく、県内では道の駅はじめ名護市内でしかお目にかかれないようです。
農林高校の生徒たちがつくった農産物や食品などの即売会がときどき各地で開かれて人気を博していますよね。この新しい豚「チャーグー」にかける高校生とOBの取り組みも応援したいですね。「ことしにかける」でした。