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今年は医療制度改革法の成立や障害者自立支援法の施行と医療の環境が大きく変化した年でした。私たちの暮らしに直接かかわる医療と福祉の問題、ことしの現場の動き、そして来年に続く課題をまとめました。

県知事選の一ヶ月前、県内の障害者団体が両候補者に公開質問状を提出しました。4月に施行された障害者自立支援法に対する考え方と、今後の対応を確かめようと当事者自らが作成した質問状です。安心してこれまでの医療サービスが受けられない。支援法の施行後、当事者の不安は募るばかりです。

「自立支援」という名の下にじわじわと当事者の生活を圧迫するあらたな制度。障害者の入院時の食費補助打ち切りに対する陳情にも、行政の壁が立ちはだかりました。

自立支援法の施行とともに、ことし6月には医療制度改革法が成立しました。これにより今後、高齢者の負担増、そして長期のリハビリ患者を対象とする療養病床が減らされるなど、私たちの暮らしに直接影響してくることが予想されます。

医療制度がかわるその不安の中で、現場では医療の質を落とさぬよう努力が続けられています。救急医療では救命士による現場での医療行為が認められたことをうけ、ことし県内でも認定をうけた救急救命士が誕生しました。搬送中に口からチューブを挿入し肺に酸素を送る、強心剤などの薬剤を投与するなどの行為が可能になりました。

中部徳州会・池原医師「医療側から外に飛び出すという点は、今まで全く進んでいなかった。私たち医者は待つ側だった。外に出て行くというのは本当に画期的なことだと思います」

直接医師が乗り込み現場に駆けつける「ドクターカー」。この新しい取り組みも、ことし初めて県内で登場しました。心肺停止状態となった患者の救命率の向上に大きな期待が寄せられています。

3月には、本島南部地区の医療拠点となる県立南部医療センターがオープン。離島医療支援や産科と小児科が一体となった母子総合医療など、高度で様々な機能をもつ病院として大きな期待が寄せられています。

南部医療センター・安次嶺院長「日勤の後に当直勤務があって、翌日また日勤。本当にこの1〜2ヶ月、体調くずして休む人が続出した。これは危険信号」

慢性的な医師不足が深刻な局面をむかえています。南部医療センターの産婦人科は、医師が足りないことから一般外来の受け入れを制限しています。

医師不足は各地で影響をおよぼしています。産婦人科が去年から閉鎖されている県立北部病院にはこれまで数人の医師が派遣されているものの、医師一人では24時間体制をとることはできず、現在、産婦人科の再開にはいたっていません。

また、常勤医師二人体制となり、南部医療センターからの医師派遣を受けてきた県立八重山病院産婦人科には、ことし6月産婦人科医師が派遣されました。しかし去年8月から医師不在のため閉鎖されたままとなっている脳神経外科は、いまだ再開のめどがたっていません。

ここからは比嘉記者に聞きます。比嘉さん、制度がかわった結果、みんな弱者を圧迫する方向になっているように見えるんですが…。

日本の医療費は年に一兆円と年々増え続けていて、このままでは20年後に56兆円という額に達する計算になります。この医療費を抑制し、医療保険制度を維持しようという改革ですが、私たちにとってはやはり生活を圧迫する不安はぬぐえません。

この改革では今後、高齢者の経済的負担が増えるほか、脳卒中などでリハビリが必要な疾患でも、入院治療は最大180日という日数制限、そのほかにも現在、多くの高齢者が利用している療養用の病床数が6年後には15万床にまで減らされます。国がどういう医療政策をめざすのか、私たちはそれをきちんと見据えなければならないと思います。

そして、慢性的な医師不足です。確保に向けた道筋は…。

やはりこの問題の解決には抜本的な改革が必要です。今年5月に開かれた「医師不足対策検討委員会」では、医師を県外から呼び込む、定年を迎えた医師の再雇用、若手の研修制度など、現役の医師や行政担当者から様々な意見が出ました。これに続き、県も慢性的医師不足解消のため協議会を設置、調査検討をかさね、来年2月には県に最終報告を行うとしています。

医療・福祉への不安が高まったこの1年ですが、なかでも緊急課題といえる医師の確保に、県や協議会が来年早々にも動き出すのでしょうか?注目したいです。