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今年の県内経済は、けん引役の観光業の好調が続き、県内景気は全体的に回復傾向で推移してきました。

10月までの観光入域客は470万人と、今年の目標であった565万人にとどくのは難しいものの、航空路線の拡大で神戸や北九州からの直行便が新たに開設、10月には世界のウチナーンチュ大会など、大型イベントが開催され、今年も国内外から多くの人々が沖縄を訪れました。また、リゾートウエディングなど新しい観光産業も注目を集めています。

観光業が好調の一方で、県内の主要産業である建設業は談合事件の影響が色濃く残りました。

およそ160億円に上る課徴金と損害賠償の支払いで中小の業者は立ち行かず、倒産に追い込まれる業者が相次ぎました。公共工事の減少で更に競争が激しくなる中、建設業界は厳しい状況が続いています。

開業から3年、県民の足として定着しているゆいレールは乗車4000万人を突破。一日平均30000人台をを維持し、順調な伸びを示すなか、交通業界では買収や競争激化といった再編への動きがみられました。

那覇交通を買収した福岡県の大手、第一交通が経営不振に陥っていた琉球バスを買収。9月、新会社「琉球バス交通」がスタート。

自由化で更に競争を強いられているタクシー業界は「日本一低い賃金」といわれる待遇改善を図るため、12年ぶりの値上げを申請、来年の夏ごろから初乗り450円が500円に値上げされる見込みです。値上げの原因となったのは、オイルショック以来の深刻な石油価格の高騰。

このほかに県内では電力やガソリンスタンドで値上げが相次ぎ、家計を圧迫しました。

6月、沖縄地方を襲った長雨は農作物にも大きな被害をもたらし、県産の葉野菜などが品薄状態となり、高値が続きました。

農業では、宮古島市でサトウキビから車の燃料を作り出すバイオエタノールの実証実験がスタート。伊江島でも国と民間が共同でプロジェクトを進め、沖縄の基幹作物・サトウキビが新たな産業の起爆剤になるか期待が寄せられています。

離島振興では宮古の伊良部大橋や新石垣空港の大型事業が本格的に動きはじめ、離島経済の活性化に向けた第一歩が記されました。

景気が回復傾向にあると言われながらも、依然として厳しい県内の雇用状況。全国平均のおよそ2倍の高い失業率、就職相談会には若い世代に交じって中高年の姿も見られ、「働きたくても働けない」事態の深刻さを浮き彫りにしています。

11月の県知事選。経済振興を最優先課題として掲げ立候補した仲井真弘多さんが当選。自立型経済の推進を強く訴えました。仲井真知事が目指す自立型経済。観光業に次ぐ新たな産業の創出と安定した雇用の確保や人材育成など、条件を整えるための課題が山積しています。