海底を走る!タックルして石を奪う!そして・・・ゴール!!
水中で自在に動けるヤツにだけ許されたスポーツ、それが「ウォーター・ロック・ラグビー」だ!
11月4日、渡嘉敷島で全日本ウォーター・ロック・ラグビー大会が開かれた。・・といっても、5年前に沖縄で生まれたまだ若いスポーツ。参加人数は30人、4チームだ。
唯一、初参加のチームが東京から来た「sea train」だ
リーダー石川さん「正直、若干一人泳げない人間がいるんで不安が残るところですが、今回みんなで思いっきりやって日ごろのストレスを発散したいと思います!」
野崎さん「(Q:泳げないということなんですが・・?)立ち泳ぎすらきつい感じで・・・」
高校時代の先輩でリーダーの石川、そして磯ヶ谷はライフセーバーの資格を持っている。原田もライフセーバーをしながら消防士を目指している。一方、野崎は・・元美容師。泳ぐ機会はほとんどなかった。
まずはこの協議の考案者でもある和田から基本的な動きを習う。海底2、3メートルに置いた石を持って走るところから始める。息が続かなくては話にならない。
さすが、リーダーの石川。初めてとは思えない出来だ。問題は、元美容師の野崎。石に触ることも出来ない。立ち泳ぎだけでもつらのだ。二度目の挑戦!仲間が石を手渡してくれた。が、一歩であがってしまう。ついに野崎が、走った!彼はいま、ひとつの壁を破ったのだ。
ロックトレーニングはもともと、ハワイのライフガードたちが考えた自分に打ち勝つための訓練だった。相手に勝つ前に、「自分に勝つ」ことが求められている。
和田さん「潜れないと考えているのは自分だけ。自分の中に限界という殻を作ってしまっている。そこを超えて、先にいけるかどうか」
だんだん調子が上がってきた東京チーム。しかし野崎は・追いつかない!
そのころ、優勝候補チームが到着した。沖縄中部の安全を守る「ニライ消防チーム」だ。いわばライフセービングのプロに、必殺技を聞いてみた。
リーダー「普通だったら石を取りにいこうとするじゃないですか。ではなく足にタックルして持ち上げて、走らせないようにする」
そんな強豪と、東京チーム、いきなりあたることになってしまった。
磯ヶ谷さん「内地のプライド見せます!」
石川さん「打倒うちなーんちゅで!」
じゃんけんで、先攻はニライ消防チーム。ハーフ地点から相手のゴールを狙う。ニライ消防、あっという間に得点だ。一瞬の隙をついて石をもらったら、確実につないでいく消防士たち。野崎はゴール近くで守りに専念するが・・届かない。前半戦10分で7対0の大差がついた。
和田さん「ぎりぎりまでこらえると、次は入れないから。つかまれたと思ったら、その人間を最低でも二人くらい上げろ」
10対0と惨憺たる結果だ。
磯ヶ谷さん「相手に触った?」
野崎さん「触りかけた」
磯ヶ谷さん「10トライあったんだからさ。1回くらい触れよ!」
東京チーム二試合目の相手は琉大水泳部チーム。疲れ知らずのつわものぞろいだ。女子選手は息が長い。野崎、彼女の背中に触るが、ディフェンスになっていない。さすがにいつも泳いでいるやつらは違う。琉大、またゴール!
しかし、後半、東京チームが相手のゴールに迫り始めた!そして磯ヶ谷の粘りで・・・辛くも1点をゲット!初めての得点に、思わず琉大チームも祝福だ。会場中が、まさに東京チームの1点を歓迎していた。
和田さん「初めてのロックトレーニング。きのう始めたので、それで今日試合をして1点取れるというのは、また強いチームからですから、たいしたもんだと。1点とった時には、感動しましたね・・」
翌日。残り一試合で一点でも多くゲットしたい東京チーム。でも、もう一つの目的「信頼できる仲間作り」の方は、達成したようだ。
石川さん「とりあえず、目標は3点!」
最後の対戦相手は、和田率いるオクマビーチチームだ。
ゴール直前で磯ヶ谷が落とした玉を原田が拾って、ゴール!東京チーム今日も得点を挙げた!続いて磯ヶ谷が独走して2点めをゲット、2対2の同点だ!そして・・・今日の野崎は違う。果敢に敵に喰らいついていた!
羽交い絞めにされたリーダーから玉を受取った磯ヶ谷。それをさらに原田につなぐ絶妙のチームワーク・・・・。リーダー石川がゴールまで疾走するが、限界。そこを原田が受けて、3点目のゴール!
5対3で試合はオクマだが、約束の3点は勝ち取った東京チーム。
「完璧だったじゃないですか」「3点!3点!」
野崎さん「少しは止められたかな・・・」
原田さん「俺は楽しかった。いい試合になった」
磯ヶ谷さん「俺は・・自分に負けたな」
仲間の呼吸を感じ、自分の限界と向き合い、信頼で石を繋いでいくウォーター・ロック・ラグビー。この透明な沖縄の海を舞台に、さらに広がっていくに違いない。