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シリーズ「2006・知事選挙」、きょうは医療・福祉をテーマにお伝えします。ことし10月から完全実施されている障害者自立支援法、障害者の自立、就労支援をかかげた法律ですが、一方で当事者の負担が増すなど、福祉の現場で混乱を招いています。今回の選挙をまえに、支援法を考える県内の障害者団体がある行動を起こしました。

知事選に立候補しているのは新人の3人、選挙戦も最終戦に差し掛かり、各候補とも熱戦を展開していますが事実上、糸数さんと仲井真さんの一騎打ちです。

先月、その二人の候補のもとを訪れたのは県内の障害者団体「チーム沖縄」代表、上里一之さんです。障害者施策、そして自立支援法に対して候補者がどのような考えをもっているかを、公開質問状として提出しました。

法の施行後、当事者の経済的な負担は増し、それに対し就労支援はまだ進まないという厳しい状況に陥っていると上里さんは指摘します。

「こんな法律じゃなかったはずだ、もっと自分たち生活のためになる法律だったはずなのに、とすごく疑問に感じる部分があるんですね」

上里さんが代表をつとめるチーム沖縄は、身体障害や精神障害といった枠をこえて、当事者やその家族、関係者が集まり、支援法について勉強会をひらき意見を交換しています。

法の施行で、サービスの利用負担は、所得に応じた額ではなく全員一定率負担となりました。経済的な負担が以前より増加したため、これまで通っていた授産施設をやめたり、ヘルパーやデイサービスの利用を控える人が増えるなどの実態が県内でも報告されています。

ある支援法を考えるシンポジウムに参加した上里さんは支援法の手続きのなかで納得いかない際には、裁判という手段をとれるのかと客席から質問しました。それほど、この支援法は当事者に重くのしかかっているのです。

「おそらく納得行かない人たちはたくさんいると思います。その部分に関してなかなかものが言えない言い切れない当事者、家族の方はたくさんいると思うんですよね」

候補者から、質問に対する答えが返ってきました。障害者福祉にどんな政策をもっているのか、そして支援法については?回答を読んだ勉強会メンバーの反応は様々です。

参加者「厳しく言うと、本当にできるのか?と思われるふしがたくさんあります」「NPOやボランティアに頼るのはどうしても難しい、県として具体的な施策が欲しい」「なんか具体的になにをやりたいとかそういったものが書かれていないんであれ?って」

「自立支援」という名の下に障害者の生活に大きく影響を与え始めたこの法律について、候補者はどうかんがえているのでしょうか。

糸数候補「とんでもない、と思っています。具体的にこれに対しどうするかというと3年後の見直しのまえにどうしてもこれを変えたいというおもいがありまして」「当事者のみなさんが本当に活用しやすい条例を制定していきたいと思っています。さらには国に対し(法)撤廃の声を上げたいと思ってますし」

仲井真候補「いまある就業支援、トライアル職業訓練、いろいろあることはあるのでこれを徹底できないかと。しっかり自活して差別のない社会の実現、これをやっていきたいと思っています」

勉強会参加者「両耳がまったく聞こえない状態なんですね。自立支援法が聴覚障害者に同影響するかというと手話通訳、僕の場合は要約筆記ですけど派遣のさいにお金がかかる、一割負担とか。コミュニケーションに対し行政がお金をとるってのはどういうことなのかなと」「生きていくうえで最低限の支援、そして理解が欲しいというだけですから、それをう少し改善して欲しいと思ってます」

参加者「実際、障害者とのかかわりがなかなかない人でも、こういう問題があるんだなって知るきっかけに、ということで(質問状経の取り組みが)始まったので、ひとりでも多くの方に見てもらえればいいなと思いますね」

行政の作る仕組みに具体的に疑問をもつ人たちが直接候補者に質問をぶつけるというのは分りやすいですね。

ええ、チーム沖縄では両候補の回答を来週あらためて公開し有権者みんなの選択の材料にしてほしいと考えています。当事者でないと分りにくい問題というのはつい基地や経済といった大きな輪テーマの影に隠れがちですがこのような質問状が出てくると問題点もみえますし、医療や福祉の問題は私たち全員に関わる切実な問題ということをあらためて実感します。

福祉などは特に自治体のリーダーのカラーがすぐに反映されますから候補者の細かい主張にいたるまで、有権者の皆さんには注目して欲しいですね。