きょうは空港に到着した飛行機をスポットに誘導する『マーシャラー』という仕事についてご紹介します。
那覇空港では現在30人のマーシャラーが連日、航空機の誘導作業に当たっています。このマーシャラー緊張感とプレッシャーを伴うとてもハードな仕事のようです。
年間57000機を越える飛行機が到着し、全国では羽田や福岡、名古屋などに次いで着陸回数で第6位に入る那覇空港。ここで飛行機の誘導業務をすべてこなすのが沖縄エアポートサービスのマーシャラー達です。
宮里政明さんは今月で定年を迎え、長年のマーシャラー生活にピリオドを打ちます。
宮里政明さん「もう33年になる。今まで小さい飛行機から大きい飛行機までやってきた。サミットでソ連のプーチン大統領のマーシャリングをしたのが一番のいい思い出です」
99年まで、沖縄の空を飛んでいた唯一の国産機YS-11に、4年前に宮古ー多良間間のフライトを最後にその翼を閉じたDHC-6、そして現在のジャンボまで、様々な飛行機のマーシャリングを担当してきた宮里さん。このベテランの宮里さんに密着して、マーシャリングを見せてもらうことにしました。
午後2時50分、久米島から到着したJTA214便がスポットに入ってきました。パドルと呼ばれるしゃもじのような板を握った宮里さんの腕が高く伸びます。機体が右旋回すると、今度は両腕を前後にふり始めました。停止線の5メートル前まで近づいたとき、宮里さんの両腕がさっと横に伸び、それから徐々に腕が上がり、パドルは頭上で交差。それと同時に214便は停止。
この間およそ30秒。航空機の巨大なタイヤは停止線でピタリと止まりました。
宮里政明さん「20センチ以内に調節しないと駄目。また、昼間と夜間はちょと違って(線が)見ずらい。そういった時は結構、神経を使います」
この機体の停止位置が大きくずれると、機体とボーディングブリッジが接続できなくなるのでミスは許されません。しかも、機体の大きさによって、停止場所も異なるため、マーシャラーはそれぞれの機体のくせや雨の日のブレーキ性能まで頭にいれているのです。
飛行機は自力でバックすることができないので、出発機をスポットから誘導路へと押し出すのもマーシャラーの仕事です。
那覇空港に勤務する30人のマーシャラーのうち、唯一の女性である友利美穂子さん。
友利美穂子さん「小学校の低学年くらいの時に、瀬長島でジャンボが降りるのをはじめて見た。あの時もう決めました」
入社後2年間は貨物の仕事をしていた友利さんは2004年に念願かなって今の部署に移動。マーシャリングの社内資格を取って2年半。この飛行機を誘導路へと押し出すプッシュバックの作業は一番緊張感を伴う仕事です。
友利美穂子さん「いつもどきどきします。一発で(オレンジの線に)乗せていくように押すのが一番難しいです」
500人以上の乗客がのるジャンボを誘導する友利さん。時間通りに離陸させるため、重い責任とプレッシャーがのしかかります。300トンを超える機体がピタリとラインに乗りました。
友利美穂子さん「(Q:出来はどうですか?)ぼちぼちですね」
マーシャリングを終えた飛行機を見送る友利さん。達成感を味わう瞬間だといいます。
数え切れない飛行機をスポットに導いてきたパドル。そのパドルは先輩から後輩へと受け継がれます。
友利美穂子さん「(Q:この仕事をいつまで続けたいですか?)死ぬまで続けたいです」
雨の日も風の日も、緊張感を切らさずに綿密な作業を続けるマーシャラー。友利さんは、小学生の頃、瀬長島で見た飛行機の着陸シーンの感動を胸に、きょうもマーシャリングにあたっています。