内臓に蓄積された脂肪は、生活習慣病を引き起こす事がわかっていて、この「肥満」が長寿県沖縄の地位を脅かしているといわれています。きょうは、最近、よく耳にするようになった「メタボリック・シンドローム」についてお伝えします。
長寿県沖縄のトップの地位を転落させた原因ともいえる「肥満」。沖縄では各年代とも肥満の人の割合は全国値より高く、今や肥満の多さでは5年連続日本一です。
「肥満」は体にどんな影響を与えるのでしょうか。
田仲医院・田仲秀明院長「脂肪の海に中に腸管がぷかぷか浮いている状態です。例え小太りであっても、おなかの中に脂肪がたまった内臓脂肪型の肥満というのは、病気と非常に密接に関わってきているというのがわかってきている」
内臓脂肪とは文字通り内臓周辺に付く脂肪のこと。単に体重が重いというだけではなく、お腹に脂肪がたまっている状態です。内臓につく脂肪と体の外側の脂肪とではどう違うのでしょうか。
田仲医師「お腹の中に脂肪が溜まりすぎた状態になると、お腹の中にあまり好ましくないようなホルモンが出てきます。ですから私はいつもお腹の中の脂からアクが出てくると説明している。どういうアクが出てくるかというと、血管を硬くして細くしてしまうものと、血液をどろどろにして血栓を作ってしまうもの」
そして、血圧をあげたり、また、インスリンの働きを邪魔して高血糖を誘発し、高血圧、高脂血症、糖尿病という事態になってしまうのです。肥満プラスこれらの症状が2つ以上重なること。それが「メタボリックシンドローム」なのです。
肥満から始まり、高血圧・高脂血症、そして糖尿病が続く状況を田仲医師は「団子4兄弟」と呼んでいます。
メタボリックシンドロームになると死に至るような病気になる確率が一気にあがります。脳梗塞、心筋梗塞、あるいは動脈硬化の病気に「3倍」。慢性の腎疾患、透析につながるような慢性の腎疾患に「2倍」。そして糖がだんだんあがってきて重症の糖尿病になる確立がおよそ「9倍」になります。
田仲医師はこれらの予防や改善には肥満の解消が鍵を握ると指摘します。これは肥満の人と肥満でない人に高血圧や高脂血症、糖尿病が発生する割合を比較したものです。
田仲医師「お腹の中に脂肪がたまっている方で、男性では5割近くの方に『団子4兄弟』というのが発生している。長男さえいなければ次男、3男、4男生まれる確立というのは5パーセント未満である。女性はもっとはっきりしていて、長男さえいなければ0.9パーセント。ほとんどないといってもいいくらいです」
肥満を解消すればメタボリックシンドロームになるリスクはぐっと下がるのです。
健康診断を受けた市民の3人に1人が肥満という糸満市では積極的に病気を予防しようと、4年前に健康づくりを目的とした専門施設をオープンさせました。
糸満市民「みんないいところばっかりですよ。こっちに来て風邪ひとつひかない」「体を動かすという事がもう楽しくて仕方がない」
ヘルスケアトレーナー・小幡美和さん「検診を受けた人の3人に1人は肥満である。日常生活の活動量を増やして、メタボリックシンドロームの予備軍から抜け出していただくという目標があります」
プログラムは筋肉の柔軟性を高め、自律訓練で体調を整えることを軸に行われます。介護される人を減らし、医療費削減につなげようと4年前にスタートしたこの願寿館の健康づくり教室の利用者は、のべ4万5000人を超えました。
市民が健康を取り戻せば医療費の削減にもつながります。去年度は推計で7000数百万円の医療費を減らしています。
肥満で健康を損ない、お金もなくす。そんな事態を招かないようこれまでの、運動をせずに、お腹いっぱい食べるといった内臓脂肪を溜め込む生活を見直す必要がありそうです。
果たして自分はメタボリックシンドームなのか、田仲医師が提案する簡単なチェック方法があります。
メタボリックシンドロームの可能性チェック
『身長÷2=腹囲のめやす』
身長が170センチの人なら85センチ。答えの数字とお腹周りを比較してください。お腹周りがその答え以上の方、内臓脂肪を減らす努力をさっそくきょうから始めて下さい。