九州・沖縄・山口のANN系列ブロック企画「夏男・夏女2006」5回目のきょうはQABの制作で素潜り漁を専門に生涯ウミチュを目指す夏男を紹介します。
照りつく南国の太陽の下、クバの葉で編んだ笠を被り、漁船を走らせるのは海人、福地進さん。「海人」とは沖縄で漁師のことです。沖縄県中部の読谷村。この海が福地さんの仕事場です。とは言え、あいにくこの日は台風の影響で海はうねり、波が高い状態。リーフの外では漁ができそうにありません。
福地さんは素もぐりを中心にした漁で、近海の魚や貝を取るのがほとんどです。魚は取れませんでしたが、大きなシャコ貝が取れました。
福地進さん「夏はもう勝負時。夏はもう毎日でも出るよ。夏場でできる限り漁をしておかないと」
福地さんは現在49歳。子どもの頃、学校を飛び出し、海で遊んでいた少年は大人になり、海人として読谷の海と共に暮らしてきました。
福地さん「自分の親父が大工しながら海行ってたものだから、一緒に。それで覚えて、あーやっぱり海がいいなーと。また憧れもあったから」
そんな福地さんといつも一緒に漁に出るのは同級生の山内茂光さん。福地さんにとっては大切な仕事のパートナーです。
山内さん「海人としては尊敬する。よくやるなー。あそこまではできないと思う。それだけ生活していくことは大変なんですよ。海だけでは」
そしてもう一人、福地さんの心強いパートナーは次男で高校3年生の嗣人さん。漁に出る際や、時には一緒に海に潜って漁の手伝いもします。
嗣人さん「お父さんほどではないんですけど、4〜5メートルぐらい(潜ることができる)」
と海に出るのは好きな嗣人さんですが。
嗣人さん「泳ぐのは好きなんですけど、魚とかは嫌いです。食べるのはちょっと」「(Q:お父さんを一言でいうと?)ちょっと頼りないけど、いいお父さんですね」
網を漁船に積んで港へ向かう福地さん。この日は海人の仕事ぶりを体験したいという観光客を乗せて漁に出ます。クバ笠を被り海を見つめる姿からは頼りないイメージなど全く感じさせない凛々しい表情。「海の男」の雰囲気が漂います。
ポイントが決まると一気に網を落とします。追い込み漁は網をかけた瞬間が勝負。チャンスを逃せば潮の流れが変わるまで待たなければなりません。海の中に潜りこんだ福地さんは山内さんと呼吸を合わせて魚を追い込みます。
かけた網にはブダイなどの色鮮やかな魚がかかっています。この日はまずまずの漁。魚が網にかかった手応えを感じるその時が海人の一番の喜びだと福地さんは言います。
福地さん「うん。やっぱり海しかないと思っている。海人だけで食っていこうと思っている」
「生涯、海人」。海と共に暮らす福地さんの夏の漁はまだ熱く続きます。
素潜り漁師、福地さんが漁の合間に実施しているウミンチュ気分体験ツアーはとても人気があるんだそうです。それはツアーの後に福地さんが振舞うウミンチュ料理が大いに貢献しているようです。